超微粒玄米粉を用いた小麦代替麺の製麺条件を検討̶ロール式製法による試作を通じた量産化に向けて前進
公開日:2026年7月15日 最終更新日:2026年7月15日


株式会社TWOのフードブランド2foodsは、既存の小麦代替麺は、味や品質に課題があると考え、それらを克服する商品として、超微粒玄米粉を原料とした麺の開発に着手しました。まずは小麦麺に比べて食感が劣ることを解決するため、物性評価をする必要がありました。また、小麦代替麺では、製麺の生産効率が高いロール式製法を適用することが難しく、量産化の見通しが立っていませんでした。

都産技研は、「フードテックによる製品開発支援事業」の公募型共同研究により、共同研究に係る費用を委託費として支援するとともに、製麺試験・物性評価を支援しました。製麺試験では、湯捏ね(ゆごね)の温度・加水率・ロール幅といった調整する要素について、最適な条件を系統的に検討しました。また、物性評価(硬さなど)により加工性を科学的に分析しました。

ロール式製法による製麺に成功し、加工性の良い製麺条件(湯捏ね温度約80 ℃、加水率48 %)を見出しました。
株式会社TWO(以下、TWO)は、「欲しいものは、いつも2つある」を掲げる、フードブランド「2foods(トゥーフーズ)」を展開する企業です。グルテンフリーでありながら本格的なおいしさを実現する小麦代替麺の開発を目指して、都産技研の「フードテックによる製品開発支援事業」で公募型共同研究に採択されました。本研究では、小麦代替麺では難しいとされてきた「ロール式製法」による試作を通じて、製麺条件の検討に取り組みました。
今回は、TWOのフードブランド2foodsの商品開発を担当するR&Dフードクリエイターの二本木 ちひろ氏と、都産技研食品技術センターの佐藤 健主任研究員に、研究の経緯と成果を聞きました。
「おいしさ」と「量産性」の壁を越える—超微粒玄米粉を主原料とした小麦代替麺
フードブランド「2foods」には、「おいしさと健康」「デザインと機能性」など、食に求めるわがままを叶えるという想いが込められています。2foodsではおやつ・飲料・パンなど多様なカテゴリーの製品を展開してきましたが、「麺は必ず取り組みたい」という思いは、ブランド発足当初から持ち続けていました。

「以前、植物由来原料を使った商品開発を進める中で、アレルギーの話を耳にすることがありました。今回の麺は単に量産するだけでなく、そうした社会課題を解決するような取り組みをしたいというのがコンセプトの一つでした」(二本木氏)
既存の小麦代替麺が広く普及していない背景には、品質特性の課題が存在します。例えば、米粉由来の小麦代替麺は伸びやすく、茹でた後に時間が経つと団子状に固まってしまいます。また、大豆由来の小麦代替麺では豆特有の青臭さが残り、風味面で消費者に受け入れられにくい場合があります。さらに、市場に流通する小麦代替麺の多くは生麺が主流であり、半生麺・乾麺・カップ麺への展開は十分に進んでいない状況です。その結果、長期保存や手軽な調理という点で、既存の小麦代替麺は小麦麺に比べて課題があります。
今回TWOが原材料として選んだのは「超微粒玄米粉」です。超微粒玄米粉は、通常の粉砕で発生する摩擦熱を避け、マイナス20 ℃という低温で玄米を粉砕することが特徴です。また、玄米は白米より栄養価が高く、特に皮の部分(胚芽周辺)に集中する栄養素を保持できます。
技術面における最大の課題は製麺方法でした。米粉由来の小麦代替麺は、押し出して成形する「押し出し式製法」が一般的に用いられていますが、この方法では生産量に限界があります。大量生産を実現するには、生産効率の高い「ロール式製法」の適用が求められます。しかし超微粒玄米粉を含む米粉には、小麦で言うところの「グルテン」のような「つなぎ」となる物質が少ないため、生地がまとまりにくく、ロール式製法で製麺すると、麺が割れたりちぎれたりしてしまう現象が発生します。また、工場の選定が重要でした。
「そもそも自社では製麺ラインを所有していないため、製麺を外部委託する必要がありました。都内の製麺工場の9割以上がロール式製法の製麺機を持っていますが、押し出し式の製麺機を持っている工場は都内ではわずかです。委託先選定の面からもロール式製法で作れることが有効になると考えました」(二本木氏)
公募型共同研究で湯捏ね条件を見出す—「生地がつながるか」という課題
TWOが都産技研の公募型共同研究に応募したきっかけは、「フードテックによる製品開発支援事業」の情報を見つけたことでした。
「都産技研は、食感に関する課題解決に向けた分析を高い水準で実施できるという印象がありました。また公募が実施されていたことから、良い機会だと考え、応募しました」(二本木氏)
TWOが公募型共同研究に期待したのは、自社では用意することが難しい製麺試験機や物性測定機器を用いた試験の実施と、研究員の専門的な分析知見を得ることでした。研究は、TWO側がコンセプト設定と開発の方向性を担い、都産技研側が技術面をサポートする形で開始しました。TWOが超微粒玄米粉の選定や粉のブレンド比率の設定、試作品の官能評価を行い、都産技研は、食品技術センターにおける製麺試験と物性評価について対応しました。

「フードテック事業は、海外情勢の影響を大きく受ける輸入小麦に代わる食品の製品開発を行うために立ち上げられました。私は、以前大麦で麺を作る研究を行っていたことがあります。その経験を踏まえ、本件に携わりました」(佐藤)
研究の核心は、タンパク質が少ない超微粒玄米粉を用い、ロール式製法で製麺するための条件を探索することでした。そこで佐藤主任研究員が着目したアプローチが、湯捏ねによる糊化(こか)です。
「麺のつなぎには、タンパク質を使う方法のほかに、デンプンを使う方法があります。超微粒玄米粉はつなぎになるタンパク質が少ないため、デンプンでつなぐことを考えました。熱湯で粉をこねる(湯捏ねをする)ことでデンプンが糊(のり)状になり、つながりやすくなるのです。試作した湯捏ね麺の物性評価を行い、加工性が改善することを確認しました」(佐藤)
検討の過程においては、湯捏ね温度・加水率・ロール幅という3つの条件を組み合わせながら、試験を重ねました。

「TWO様には何度か食品技術センターに来ていただき、ロール式製麺機で製麺して、最適な加工条件を一緒に確認しました。またロールの幅についても、広すぎてもつながらず、狭すぎると生地が送り出されないため、適切な幅を検討しました」(佐藤)
課題は「超微粒玄米粉の生地がロールでつながるかどうか」でした。試行錯誤の末、湯捏ね温度が約80 ℃、加水率が48 %という、加工性の良い製麺条件を見出し、食品技術センターでロール式製法による製麺に成功しました。さらに、試作品の物性評価(硬さなど)も実施しました。
「測定機器で分析していただいて、『この数値の場合、食感としてはこうなる』ということまで教えていただいたことが非常に参考になりました」(二本木氏)
現在TWOでは、今回の試作結果を踏まえ、委託先工場での実用化に向けた検討を進めています。あわせて、麺としての完成度を高めるため、麺に合わせる植物性チキン白湯スープの開発も自社で進めています。
「植物性スープは使用する油脂との相性が特に大切です。舌の上で広がるコクや豊かさをしっかり感じられるように、重ための植物性ミルクなどの原料も組み合わせています」(二本木氏)

グルテンフリーで本格的な味を目指す—実用化に向けた展開
今後の展開について、二本木氏は次のように語ります。
「今回の共同研究の結果を踏まえて、まず生産できる工場を見つけ、世の中に出せるような品質で開発できれば、半生麺、乾麺、カップ麺という順序で展開したいと想定しています。グルテンフリーを実現しながら、誰でも本格的な味を楽しめる製品を目指しています」(二本木氏)
都産技研との共同研究を振り返り、二本木氏は「研究機関というとハードルが高く感じるかもしれませんが、実際には非常に親身になっていただけます。新製品開発を自社だけで抱え込む必要はないということを実感しており、その点を多くの企業に伝えたいです」と話します。
佐藤研究員は「都産技研は製品を作って売ることはできません。ですが、アイデアと課題を持ってきていただければ、技術相談として対応することが可能です。ぜひご利用を検討いただきたいです」と締めくくりました。

株式会社TWO
2foods R&D フードクリエイター 二本木 ちひろ 氏(左)
食品技術センター
主任研究員 佐藤 健(右)
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