本部 環境試験室の紹介
公開日:2025年2月1日 最終更新日:2025年2月1日

環境試験室では、各種環境試験機器をお客様に利用いただくことで、製品開発を支援しています。環境試験機器とは、試験品の周囲環境を変化させることが可能な装置の総称です。本記事では、環境試験室で利用ができる恒温槽と恒温恒湿槽を紹介します。
恒温恒湿槽
恒温恒湿槽とは、槽内の温度・湿度を任意に設定して、試験品の使用環境を模擬することができる装置です。プログラム運転機能を用いることで、温湿度の自動切り替えや勾配を設定した温度サイクル試験を行うことができます。
都産技研では、温湿度や試験品サイズなどの試験条件に合わせて最適な装置を選択いただけるように、さまざまな装置をご用意しています。
例えば、通称「前面ガラスタイプの恒温恒湿槽」は扉がガラス製で、槽内を見渡すことができます。また、オプションとして操作孔を備えており、槽内の温湿度を乱すことなく槽内の試験品に触れることもできます。
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冷熱衝撃試験機
冷熱衝撃試験機は、急激な温度変化を試験品に与えることができる装置です。事前に調温した高温の空気と低温の空気を、交互に試験エリアに流し込む ことで、試験品がない状態では5分以内に試験エリアの温度が切り替わる仕様となっています。試験品の大きさや材質によって多少前後しますが、数分で槽内温度を変化させることができます。 このような試験はヒートショック試験とよばれます。恒温恒湿槽を用いた温度サイクル試験よりも過酷な試験として、複合材料の剥離確認や基板の耐久性試験などに使用されます。
環境試験室では、大型、中型、小型と3種類の槽を設置しており、試験品の大きさに合った装置をご利用いただけます。

減圧恒温槽
電子機器は、減圧環境での稼働や保存を行うと、物理的な 障害が発生することが想定されます。特に高所環境においては、気圧の低下と共に気温も低下し、航空機は-40℃以下の空間を飛行しています。
減圧恒温槽は、-70 ℃から+130 ℃の任意の温度で、槽内圧力を減圧させることができる恒温槽です。環境試験室では、-70 ℃から+40 ℃の温度範囲の試験で、通線孔に一時的なシーリングを施し、電源コードや信号線を槽外に延ばすこともできます。さらに、圧力を10.7 kPaから90 kPaの任意の値に設定して、IEC 60068-40の規格試験やMIL規格に沿った試験などの航空輸送を模擬した試験が可能です。また、標高が高い地域で使用する製品の動作確認も行うことができます。

PCT試験機(加速寿命試験機)
電子基板などに水が入り込むと回路が短絡し、電子機器の故障に繋がります。プレッシャークッカ―試験機(PCT)は、槽内が耐圧容器となっています。そのため、大気圧以上の圧力下で、105 ℃以上の高温条件での高湿度運転を行うことが可能です。このような高温・高湿度試験をHAST試験(Highly Accelerated temperature and humidity Stress Test)と呼び、大気圧下での温度・湿度試験よりも過酷な条件で試験を行うことから、劣化や不具合を早期に引き起こすことができます。そのため、半導体デバイスや電子機器の評価に使用されます 。槽外への通線はできませんが、付属の信号端子を使用した通電試験が可能です。

恒温恒湿室
恒温恒湿室は、ロボットや屋外設置の電子機器など、大型の試験品を試験することが可能な恒温恒湿槽です。環境試験室では、同型の装置を2台所有しており、隣り合わせで設置しています。槽内は約2 m×2 mの広さがあり、荷重合計が300 kgまでの大型の試験品に対して試験を行うことが可能です。また、10 ℃、10%RHから70 ℃、95%RHまでの広範囲で温湿度を設定できます。そのため、電子機器を低湿度条件で動作させる試験や膨潤する試験品の寸法評価、2槽を同時に利用した入替試験など、幅広い試験に利用することができます。

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