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車載機器・小型モビリティに関する技術支援に取り組む ―ゼロエミッションに資するモビリティ産業支援事業のご紹介―

印刷用ページを表示する 更新日:2023年11月1日更新

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都産技研 多摩テクノプラザでは2022年度より「ゼロエミッションに資するモビリティ産業支援事業」を開始しました。車載機器・小型モビリティに関する技術支援の内容と今後の展望について、電子技術グループ グループ長の上野 武司に話を聞きました。11月15日に『自動車業界の構造転換』をテーマとするセミナーを開催します。皆さまのご参加をお待ちしております。

(外部リンク)

自動車の「電動化と軽量化」に両輪で取り組む

気候変動は地球規模の脅威となっており、その対策としてCO2をはじめとする温室効果ガスの抑制が求められています。東京都では、2007年に策定した「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」の基本方針のひとつとして、自動車交通でのCO2削減を加速してきました。また2019年5月には、2050年にCO2排出実質ゼロとする「ゼロエミッション東京」の実現を宣言しています。

自動車交通におけるCO2削減の要となるのが、ガソリン車からZEV(ゼロエミッション・ビークル)への移行です。「ZEV」とは、走行時に温室効果ガスを排出しない電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHV)などを指します。上野は「ZEVによる自動車の電動化や、車体部品の軽量化によって、環境負荷の軽減が期待できます」と話します。

上野グループ長の写真

「電動化した自動車は、大型のバッテリーを積載することになります。バッテリーは重量があるため、車としてのパフォーマンスを保つには、車体の軽量化が必要です。ゼロエミッションに向けて、電動化と軽量化は両輪で取り組むべき課題と言えるでしょう」(上野)

図1 ハイブリッド車(HV)と比較した各種ZEV(ゼロエミッション・ビークル)のエネルギーと動力源

図1 ハイブリッド車(HV)と比較した各種ZEV(ゼロエミッション・ビークル)のエネルギーと動力源の表

 

都産技研のモビリティ産業支援事業

都産技研 多摩テクノプラザでは、以前より電磁ノイズの干渉を確かめる民生機器のEMC試験や、CFPR(炭素繊維強化プラスチック)をはじめとした軽量部材の研究に取り組んできました。そこで、これらのノウハウを活かし、車載機器・小型モビリティに特化した技術支援として、2022年度に「ゼロエミッションに資するモビリティ産業支援事業」を立ち上げました。

EMC試験とは、「製品から強い電磁波が放出されていないこと」「外からの電磁波を受けて誤動作をしないこと」を確かめる試験であり、その内容は国際規格で定められています。目に見えない部分ですが、車の安全性を担保するには欠かせない試験です。

「民生機器のEMC試験と違い、車載機器のEMC試験では、車体の中に製品が置かれた状態を想定して試験を行う必要があります。当事業をはじめるにあたり、10メートル法電波暗室のセッティングを改めて検討したほか、新規に試験機器を導入するなどして、各種試験に対応してきました」(上野)

ネットワークアナライザの写真
マイクロフォーカスX線CTの写真

2022年度に新規導入した、ネットワークアナライザ(左)と、マイクロフォーカスX線CT(右)

事業立ち上げから1年が経過し、依頼試験や機器利用を活用される方は増えているといいます。

「車載機器・小型モビリティ関連の試験設備が導入されるのが待ち遠しかった、という声もいただきましたね。お客さまのなかには不具合の原因究明のため、条件を細かく変えながら試験をされる方もいらっしゃいます。依頼試験では職員が付いて一緒に試験をしますので、ご要望に合わせたきめ細かな対応も好評をいただいています」(上野)

2023年度には環境試験にも対応

「ゼロエミッションに資するモビリティ産業支援事業」では、車載機器や小型モビリティ分野への参入を検討されている企業さまを対象とした「モビリティ産業参入促進セミナー」を定期的に開催しています。

11月15日(水曜日)には「自動車業界の構造転換に対する技術・経営・人材育成セミナー」と題し、ガソリン車からZEVへの移行に伴う構造転換をテーマとしたセミナーが開催されます。東京都中小企業振興公社や東京都立職業能力開発センターとも協力し、技術・経営・人材育成を考えるヒントとなるようなセミナーを予定しています。

「セミナーでは2つの講演を予定しています。ひとつは『自動車整備の視点から見たモビリティの変遷』。東京都立職業能力開発センター八王子校で、指導員を長年務められている方の視点から、車載機器の位置付けや電動化への対応などを現場目線でお話いただきます。もうひとつは『自動運転技術で創る楽しく便利な社会』と題し、歩行速モビリティの自動運転技術と実証実験の様子について、開発企業である株式会社ZMPさまよりご紹介いただきます。モビリティの現在地と未来予想図が、この先の道しるべのひとつになりましたら幸いです」(上野)

さらに当事業では、自動車関連規格に基づいた各種の環境試験に対応するため、防水試験機やオゾン劣化試験機、恒温恒湿槽、塩水噴霧試験機など、新たな試験機器の導入を2023年度内に予定しています。これにより寒冷地や海岸沿いなど、自動車が走行する環境を再現した試験が可能となります。

「これからも中小企業の皆さまと一緒に、新たなモノづくりを目指せたらと考えています。多摩テクノプラザ含め、都産技研の技術支援をぜひご活用いただけますと嬉しいです」(上野)

表1 2023年度導入予定機器
  • 小型モビリティ用低周波放射
    イミュニティシステム
  • 近傍界測定システム
  • 車載機器向け恒温恒湿槽(大型)
  • 塩水噴霧試験機
  • 複合サイクル試験機
  • 恒温恒湿槽(前面ガラス型)
  • 熱衝撃試験機
  • オゾン劣化試験機
  • 紫外線オートフェードメーター
  • キセノンアーク灯式促進耐候性試験機
  • 防水試験機
  • 恒温槽付き万能試験機
  • 分光測色計
  • ウォータージェット切断加工機
  • 走査型電子顕微鏡

 

【自動車業界の構造転換に対する技術・経営・人材育成セミナー】

日時:2023年11月15日(水曜日)13時30分から16時20分
場所:東京都中小企業振興公社 オープンイノベーションフィールド多摩 国分寺館
  (ご来場の際には、公共交通機関をご利用ください。)
受講料:無料
参加方法:都産技研ウェブサイト「参加申し込みフォーム」(下記URL)よりお申込みください。
ttps://www.iri-tokyo.jp/seminar/231115mobilityemc.html

申込期限:11月13日(月曜日)


(外部リンク)

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多摩テクノプラザ​
電子技術​グループ
グループ長​
上野 武司​(うえの たけし)

お問い合わせ先

技術相談依頼試験・機器利用について

技術相談受付フォームはこちらから(外部リンク)

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