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城東支所による「デザイン思考」に関するセミナーを実施。異業種交流グループの交流を促す

印刷用ページを表示する 更新日:2023年11月1日更新

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2023年8月、都産技研では2023年度に発足した東京都異業種交流グループの育成の一環として、「デザイン思考」に関するセミナーを実施しました。本セミナーは、城東支所におけるデザイン支援事業として、都産技研の研究員が講師を務めたものです。当日の様子をレポートします。

(外部リンク)

デザイン思考とは「問題の解決方法をデザインするための考え方」

都産技研では、異なる業種・分野の都内中小企業が交流し、経営課題の解決や共同開発を目指した技術的な連携を行う“場”として、異業種交流グループの発足を支援しています。毎年新規のグループを立ち上げており、発足1年目にはグループ育成の一環として、チームビルディング研修を実施しています。

昨年度まで外部講師による研修を実施してきましたが、今年度は城東支所の加藤貴司 主任研究員が2023年度発足の第39期グループに対し「デザイン思考」に関するセミナーを実施しました。

加藤主任研究員による講義は「デザインとは?」という問いから始まりました。参加者からは色や形などのビジュアルや、ポスターデザインといった答えが挙がります。では、「デザイン思考とはなにか?」加藤主任研究員 は「問題の解決方法をデザインするための考え方」だと説明します。

セミナーの様子の写真

「問題を解決する方法のひとつとしてデザインを使う、というのがデザイン思考の考え方です。ノンデザイナーがデザインの考え方を取り入れること、今までとは異なった観点から解決手段を考えられるようになることを目的としています」(加藤)

セミナーでは、デザイン思考のプロセスを用いて在宅医療の問題解決を試みた開発事例についても紹介をしました。

開発事例では、在宅医療にどんな問題があるのかを調べるため、医師に同行して30件以上の現場を訪問。その行動観察の記録から、「家の中には点滴をぶら下げる場所がない」という課題が見えてきました。これを踏まえ、解決策となるアイデアを出し、実際にプロトタイプを作成。医療従事者にテストをしてもらい、ブラッシュアップを繰り返しました。

この一連の流れは、「共感(体験や観察)→問題提起(課題の発見)→創造(アイデア出し)→プロトタイプ(試作)→テスト」という、デザイン思考のプロセスに沿ったものです。

説明をする加藤主任研究員の写真

「デザイン思考は、複雑で定型的な考え方ができない問題を解く手段として提唱されたもの。それゆえ、答えが明確に決まっている問いよりも、体験や共感をもとに有効な手段を生み出すような場面に向いています」(加藤)

 

「名刺交換を楽しくする名刺入れ」のアイデアとは?

セミナーの後半は、デザイン思考の流れを体験するワークショップが行われました。参加者は5つのグループに分かれ、各グループは「雑貨メーカーの製品開発部」という設定です。加藤主任研究員からは「名刺交換を楽しくする体験を提供できる名刺入れ」というテーマが与えられました。

まずは「共感」のステップです。実際にグループ内で名刺交換を行い、自ら名刺交換を体験し、他のメンバーの観察も行います。異業種が集まったグループということもあり、互いの業界の名刺交換の作法を確認し合う様子も見られました。「名刺交換」という身近なテーマで話も弾み、最初は固かった雰囲気も徐々に和らぎはじめます。

名刺交換の作法を確認する参加者の写真

この経験や観察を踏まえ、「名刺交換ってどういうときに行う?」について2分間のブレインストーミングが行われました。一人ずつ付箋にアイデアを書いて、机に置かれた模造紙に貼っていき、その後、「他人が貼った付箋を展開させてアイデアを膨らます」というルールが加わり、もう2分間アイデアを出し続けます。

ブレインストーミングの様子の写真

さらに「名刺交換の心地良かった体験・改善したいところ」、「こんな名刺入れがほしい」についてのアイデア出しが続きました。いきなり「どんな名刺入れがほしいか」と問うのではなく、段階的にアイデアを出しながら、理想とされる形を探っていきます。

ブレインストーミングの様子の写真

ブレインストーミングが終わると、各グループの模造紙には大量の“アイデアの種”が貼られていました。ここからは、発散させてきたアイデアを収束させるステップです。面白いアイデアを選び、「コンセプト」や「ターゲット(ペルソナ)」を定め、新たな「名刺入れ」に落とし込んでいきます。発表までの制限時間は30分。そのあいだ、参加者たちは活発に議論を交わし、アイデアをまとめていきました。

ブレインストーミングの様子の写真

ワークショップの最後には、各グループからバラエティに富んだ名刺入れが発表されました。名刺交換の課題といえば、やはり「名刺を整理する時間がない」「顔と名前が一致しない」といったもの。この課題に対し、「名刺入れの中でスキャン、情報をスマホに転送する」という名刺入れもあれば、「相手の顔や会話内容も記録し、名刺交換だけで相手のすべての情報を蓄積する」という“全部入り”の名刺入れを提案したグループもありました。

発表の様子の写真

また、「名刺交換を楽しくする体験」に着目したグループでは、名刺入れに名刺を置くと名刺を渡した人の転生した場合の職業と得意技をしゃべってくれる「転生名刺ボックス」や、名刺が飛び出ると同時に名刺の色が変わる「マジック名刺」といったアイデア名刺入れが誕生。実際に厚紙でモックアップを作って実演した班もあり、発表は大いに盛り上がりました。

発表で実演する参加者の写真

社外の文化を取り入れることでオープンイノベーションを

ワークショップを終えて、講師を務めた加藤主任研究員は今回のセミナーの狙いを「交流を促し、オープンイノベーションの種をまく」と話します。

「新たな異業種交流グループが発足したばかりということで、活発なコミュニケーションや議論を行ってもらおうと、デザイン思考を用いたワークショップを企画しました。異なる分野からのアイデアや文化を取り入れることで、オープンイノベーションを実現していただけたらうれしいですね」(加藤)

また、第39期 東京都異業種交流グループの代表幹事を務める村松道浩氏は「短時間でたくさんのアイデアが出てきたことに驚きました」といいます。

村松氏の写真

「それぞれの企業を代表する方々が参加したグループだけあって、皆さんとても積極的に取り組まれていましたね。笑い声も多く聞こえましたし、だいぶ交流が生まれたように感じます。異業種交流グループは短期で成果を出すものではなく、長い時間をかけて信頼関係を築き、違う立場同士の“化学反応”を生み出すもの。今日のワークショップをきっかけに、じっくりとお互いの理解を深められたらと思います」(村松氏)


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