Q29:工場の大型生産ラインの制御装置に組み込む製品はRoHS(II)指令の対象でしょうか?
最終更新日:2025年3月3日
工場の大型生産ラインの制御装置に組み込む製品はRoHS(II)指令対象外
工場の大型生産ラインの制御装置に組み込む製品はRoHS(II)指令対象外です。
RoHS(II)指令は、原則としてすべての電気電子機器に適用されますが、適用除外用途での使用に限定して、それの一部に使用される製品には条件付きで適合が免除されています。
以下にその条件について詳細を説明します。
1) 工場の大型生産ライン(設備)自体
RoHS指令第2条第4項(e)「大型の固定設備」に該当すると考えられますので、RoHS指令の適用除外となります。
2) 工場の大型生産ラインの制御装置(装置)
下記の条件の場合、RoHS(II)指令第2条第4項(c)によりRoHS指令適用対象外の制御機器と言えます。
- 装置が適用除外である設備の一部として、特別に設計され、設置されている機器であり、その設備の一部である場合でのみその機能を果たすことができる
- 交換する場合には、同じく特別に設計された装置でのみ交換可能である場合
3) 他の設備でも使用可能な制御機器
上記の条件を満たさない、他の設備でも使用可能な制御機器(附属書I カテゴリー9「産業用監視及び制御機器」に該当)であれば、これに組み込む製品は、RoHS(II)指令に適合させる必要があります。
4) 制御機器が第2条第4項(c)の条件を満たして 適用除外装置である場合
下記条件において、RoHS指令に適合させる必要はありません。
- 組み込む製品(製品)が装置の一部として、特別に設計され、設置されている製品であり、その装置の一部である場合でのみその機能を果たすことができる
- 交換する場合には、同じく特別に設計された製品でのみ交換可能である場合
特別に設計された製品
ここで「特別に設計された製品」に関しては、RoHS (II) FAQ(外部リンク) の4.1に説明があります。
特別に設計された電気電子機器(EEE)とは、通常オーダーメイドであることを意味し、特定のアプリケーションのニーズを満たすように設計されたもの
と説明されています。
この条件を満たせば、製品はRoHS指令に適合させる必要はありません。
5) 製品が適用除外機器と適用機器の両方で機能できる場合
製品が適用除外機器と適用機器の両方で機能できる場合には、製品が適用除外機器のみに設置されることを(たとえば、販売文書、設置説明書、マーケティング資料などで)証明できない限り、RoHS指令に適合させる必要があるとされています。
RoHS (II) FAQ(外部リンク) の4.6では、
RoHS指令に適合していない製品を、適用除外機器で使用するために販売する場合にも、販売者はその機器の意図された用途を完全に把握する責任があり、適用範囲外でのみ使用可能であることを保証する責任がある
としています。
(参考)機械指令
機械指令において、部分的に完成された製品は「機械」とはみなされないため、組込宣言による適合宣言を行います。(CEマーキング表示はできません)
こちらは、機械指令での要求は、部分的に完成された製品(制御システム)に対する機械的な誤動作など物理的な安全性に関するものであり、RoHS指令の主旨とは全く独立した要求事項です。
- 参考: MTEP海外法規制に関する解説テキスト「CEマーキング入門 機械指令」