防災・減災技術の最前線を紹介 「東京イノベーション発信交流会2026」
公開日:2026年3月2日 最終更新日:2026年3月2日

2026年1月16日、都産技研本部の東京イノベーションハブで「東京イノベーション発信交流会2026」が開催されました。当日の様子をお伝えします。
「防災・減災技術」をテーマに26社が出展
「東京イノベーション発信交流会2026」は、中小企業によるオープンイノベーションの促進を目的に、都産技研が主催する技術マッチングイベントです。今回は「防災・減災技術」をテーマに、連携協定締結機関等からの推薦企業26社が出展しました。
会場には各企業の出展ブースが設けられ、来場者が熱心に質問をする様子も見られました。また、イベント冒頭では都産技研表彰の表彰式が行われたほか、出展者による「7分プレゼン」の場も設けられ、各企業の事業紹介や都産技研による技術シーズの紹介なども行われました。
出展企業による事業内容の紹介
出展企業3社に対して、事業内容やこれからの展望についてインタビューを行いました。その様子をお伝えします。
複数の建物の地震被害状況を一元管理

1986年に設立した白山工業株式会社は、産業機械分野と防災分野の2つを事業の柱としており、防災事業では地震・火山観測用機器の開発などを手がけています。中でも建物の健全性を評価するシステムは、建物に設置した地震計のデータから揺れや被害状況を “見える化”するもので、東日本大震災でも初動対応に活用されました。
「さらに多くの施設でも導入しやすい形を目指し、より安価な『IoT地震観測サービス』を開発しました。振動センサーや通信機能、バッテリーなどが内蔵されており、本体をひとつ据え付けるだけでサービスインが可能です。取得したデータは当社のクラウドサーバにアップロードされ、震度や建物の損傷などをリアルタイムで確認することができます」(同社防災システム事業部 事業部長 中井 俊樹 氏)

本体を各拠点に設置すれば、複数の建物の被害状況を一元管理することが可能です。既に導入実績は民間企業を中心に1,000ヶ所を越え、「BCP対策に役立っている」といった声が届いているといいます。また、現在は自治体の協力も得て、避難所や学校・保育園などでの実証実験も進めています。

「広域かつ多拠点の観測データが得ることができれば、より面的な被害状況の把握にも役立てるはずです。地震観測の精度を追求しつつ、協業会社を増やすといったビジネス上の広がりにも取り組み、より良い形でのデータ活用を目指せたらと考えています」(中井氏)
地中の状態を常時監視して陥没事故を防ぐ

株式会社ウオールナットは、地中レーダによるトンネル調査をいち早く実用化した実績を持つ企業です。「非破壊調査のパイオニア」として、道路やトンネルなどの土木建造物の点検・調査を担っています。今回展示された「スマートパイロン-R」は非破壊調査の実績と、近年増加している突発的な陥没事故への危機感から生まれました。
「下水道管路や地下開発工事に起因する陥没事故は全国各地で発生しており、予防的な監視システムへのニーズは年々高まっています。従来は、専用の計測車両を走らせて地中の状態を調査していましたが、機会が限定的になるという課題がありました。そこで、陥没が懸念される箇所を24時間365日監視する仕組みとして、本製品を開発しました」(同社営業グループ主任 山本 堪巳 氏)

「スマートパイロン-R」は地中レーダを地下に照射することで、地下の状態を常時監視します。計測データはクラウド経由でAIが解析し、異常を検知した際は関係機関へ自動的にメールが送信されます。深さ1.5メートルの空洞やゆるみを検知可能です。
「常時モニタリングシステムの開発は弊社でも初めてのこと。センサーの構成やプログラミングなどで検討を重ね、開発機関には約2年を要しました。展示会では自治体の方々からの関心が高く、実際の業務につながる案件も生まれてきています」(同社技術開発室 比留間 純一 氏)

持ち運びできる小型人命探索レーダー

1999年に創業された有限会社ケイ・ピー・ディは、基板設計に強みがあり、航空宇宙や建築、医療など幅広い分野の製品開発を請け負っています。そのノウハウを活かし、東京理科大学と都産技研との3者による共同研究を経て開発されたのが、人命探索補助レーダー「ミマモレーダー」です。
「災害発生時、瓦礫等の下敷きになってしまった人の位置を探査するためのレーダー装置です。センシング結果をスマホに送信し、周波数帯の違いなどを基に心拍・呼吸・体動などの生体反応を検知します。スマホ1台につきミマモレーダー6台までのセンシング結果を同時に通信できますので、対象エリアに本製品を複数配置し、重点的に探索するといった使い方が可能です」(同社代表取締役 加藤木 一明 氏)

手のひらサイズの本体は重さ40グラムと軽量であり、複数台の持ち運びも簡単です。都産技研は外装やロゴなどのデザイン面を支援し、持ちやすさや滑りにくさを考慮した、実用性の高いデザインに仕上げました。今後は実際の瓦礫を用いた実証試験も予定しています。
「本製品の基板は重さ10グラムしかありません。災害用ドローンに搭載すれば、機動力の強化にもつながるはずです。当社の技術力で何か社会貢献ができないか、という思いで始めた取り組みですので、実際の現場の意見をいただきながら、機能強化を図っていければと考えています」(同社 加藤木氏)
ご来場いただいた皆さま、ご出展いただいた企業の皆さまに、厚く御礼申し上げます。多くの皆さまに、情報交換・収集や連携・協業等に向けた関係構築といったご出展およびご来場の目的を達成いただけたと考えています。都産技研は、中小企業の皆さまの新技術・新製品開発の促進につながるような、企業×企業および企業×都産技研の連携を推進する取り組みを行ってまいります。
(都産技研企画部連携企画室)
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