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イノベーションに挑む中小企業が集結「産業交流展2025」レポート

公開日:2026年1月15日 最終更新日:2026年1月15日

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2025年11月26日から28日までの3日間、約700社の中小企業が出展する総合展示会「産業交流展2025」が東京ビッグサイトで開催されました。東京都立産業技術研究センター(以下、都産技研)は、今年、新たな試みとして共同研究企業等とのパビリオン形式による「都産技研テクノネットワークゾーン」を展開。中小企業の技術課題解決と事業化支援のPRを目的として、技術シーズの活用から製品化までのプロセスを一体的に発信しました。また、各ブースでは、実演や体験を通じて、中小企業の技術力や支援機関の取り組みを紹介しました。本記事では、当日の様子や出展企業の成果についてお伝えします。

支援事例を見て・体験できる「都産技研テクノネットワークゾーン」

都産技研テクノネットワークゾーンでは、共同研究を行った企業や、都産技研の製品開発支援ラボに入居する企業、異業種交流グループ参加企業、公設試験研究機関が出展。実演や体験も交えながら、製品やサービスを紹介しました。

ブルーイノベーション株式会社では、屋内点検ドローン「ELIOS 3」の実演および避難広報ドローン「BEPポート|防災システム」の実機展示が行われました。ELIOS 3は、配管内など人の立ち入りが困難な空間を飛行し、4Kカメラや高輝度照明に加え、サーマルセンサーやLiDAR(Light Detection And Ranging)を用いて、点検箇所をリアルタイムに3Dデータ化するなど、高精度な点検が可能です。避難広報ドローンは、Jアラートと連動し、避難広報と状況把握を完全自動化。遠隔地からでも広域の被災状況をリアルタイムに把握でき、迅速かつ安全な避難支援と初動対応が可能です。

都産技研は、ブルーイノベーション株式会社に対して、技術シーズの提供や試験設備の活用、データ処理フローの設計支援、現場適用に向けた安全性検証など、実用化に向けて多面的なサポートを行いました。これらの技術は既に国内外で実用化されており、ELIOS 3は2025年に八潮市で起きた大規模な道路陥没事故で、BEPポート|防災システムは、同年のカムチャツカ半島地震時に宮城県仙台市と千葉県一宮町で被災状況把握に活用された実績があります。 

屋内点検ドローンの実演

 

イリスコミュニケーション株式会社では、視覚障害者向けのカラーレンズを展示しました。視覚障害のひとつである「光過敏」は、眩しさのために文字が読みづらいといった症状があり、重い場合は歩行が困難になることもあります。

同社が開発したカラーレンズは、明るさと色に関する視覚の特性を定量的に測定した結果に基づき、赤・青・緑の3つの波長域を独立に調整できるため、個人の特性に合わせて光過敏や色覚特性をサポートできるのが特徴です。本製品は都産技研との公募型共同研究により開発されました。都産技研は、評価指標の策定、試作検証(分光・透過特性)、ユーザーテスト設計支援など、研究開発の各段階で技術的な伴走支援を実施しました。展示スペースでは視覚の特性の測定とカラーレンズのフィッティングの実演も行われました。

共同研究により開発したカラーレンズ

 

製品開発支援ラボに入居している株式会社VRデザイン研究所では、VRゴーグルを使った製造現場の研修プラットフォーム「LegacyLink XR」の体験展示が行われました。同社では「3D Gaussian Splatting」技術により、現場の大型機械を超高精細なCGモデルで再現。VR技術により、実際は人が入ることができない細部まで構造を確認することが可能です。また、MR(Mixed Reality)映像を活用した体験型研修は、空調機器の清掃手順などをわかりやすく学べる仕組みで、集合研修にも対応しています。

さらに、都産技研との共同研究の成果である「XR Showcase Hub 」も展示されました。このシステムは、展示会や会議室などの限られたスペースでも、複数の来場者が同時にXR(Extended Reality)体験を共有できる販促プラットフォームです。都産技研は、通信方法の見直しや通信機器・試験環境の提供、最大80台による同時配信実験など、開発の各段階で技術的なサポートを行いました。

VRゴーグルを使った製造現場の研修プラットフォーム「LegacyLink XR」を体験

 

また、都産技研テクノネットワークゾーンでは、東京都立皮革技術センター・神奈川県立産業技術総合研究所・千葉県産業支援技術研究所・埼玉県産業技術総合センターの4つの公設試験研究機関が事業案内や研究成果を紹介しました。

東京都立皮革技術センターは、皮革に関する全国でも数少ない公設試験研究機関であり、幅広いお客様から利用されています。 
「当センターが位置する墨田区は、かねてより皮革産業が盛んであり、現在も豚革の産地として知られています。私たちは技術支援や依頼試験をはじめ、講習会や研修会の開催を通じて、中小企業の支援に取り組んでいます。また、皮革の染色や改質などに関する研究に取り組み、その成果を企業に還元しています」(東京都立皮革技術センター 浅場 祥子氏)

脱毛排水からケラチンを回収し、革に添加することで物性等を改質した豚革の試作靴 

会場各所で発信した都産技研の支援と成果

都産技研テクノネットワークゾーン以外でも、東京都総務局ブースでは、都の試験研究機関をパネルで紹介していました。

「東京都には都産技研を含め、医療、農業、土木など幅広い分野の研究を行う試験研究機関が13か所あり、都の政策課題に関する研究も行われています。これまでの各機関による発信に加え、今回初めて各機関の取組を一つのブースに集約してPRに取り組んでいます。この機会に、都の試験研究機関への理解を深めていただけたら幸いです」(東京都総務局 境 敦史 氏)
 

東京都の試験研究機関をパネルでご紹介

 

また、東京都事業関連ゾーンでは、都産技研と東京都、そして東京都中小企業振興公社の3団体が出展し、デザイン支援の成果を紹介しました。都産技研のブースでは、技術研究会の一つである「ユニバーサルファッション製品の企画開発研究会」が開発した無縫製ニット「Spiral MiGU」(スパイラル ミグ)を展示。こちらの製品は、地産地匠アワード2025優秀賞を受賞し、幅広い体型に対応する伸縮性とデザイン性が評価されました。詳細は関連情報記載のTIRI NEWSをご覧ください。 

「Spiral MiGU」や、支援を担当した城東支所のパネルを展示

11月26日には、「東京都ベンチャー技術大賞表彰式」が開催され、株式会社Dental Predictionが、都産技研の「ものづくりベンチャー育成事業」を活用して開発・改良を重ね、製品化された歯科医師支援アプリケーション「TreLab」で奨励賞を受賞しました。
詳細は 東京都ベンチャー技術大賞 ホームページ(外部リンク) をご覧ください。

東京都立産業技術研究センターは、今後も研究開発や事業化支援を通じて、中小企業の発展に貢献してまいります。これからの都産技研にご期待ください。

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