JCSS登録認定範囲拡大
公開日:2024年4月15日 最終更新日:2024年11月12日

都産技研では2006年度に「電気」の区分で初回認定を受けてから、「温度」、「長さ」と区分を追加しながら、JCSS認定シンボルの入った校正証明書を発行してきました。このたび2024年2月4日付で、「電気」および「長さ」の区分で校正手法の追加登録認定を受けました。また「温度」においても不確かさの低減が認められ、より精度の良い校正が可能となりました。新たに追加された手法については2024年4月より受付を開始しています。
長さ区分
長さ区分では、現状の座標測定器用ゲージの「寸法、距離、座標値」に加えて、国内初となる座標測定器用ゲージの「幾何偏差(平面度、真球度、真円度)、最小二乗直径」でJCSS登録認定を受けました。これにより、三次元測定機や3Dスキャナなどの精密に寸法・形状を測定する装置の検査で使用されているゲージについて、寸法や距離だけでなく規格に準拠した検査項目についてトレーサビリティの確保された校正が可能になりました。自動車産業や航空・宇宙産業での輸出に必要なISO/IEC 17025に準じた校正証明書を発行することができます。
そのほか、「球(平均直径)」での追加認定も取得しています。三次元測定機や非接触測定機の日々のキャリブレーションに用いるマスターボールもメーカーを問わず校正が可能です。
長さ区分における校正範囲と拡張不確かさは下表の通りです。
《校正可能なゲージ等》
【座標測定機用ゲージ】
.webp)
(写真提供:株式会社トレサ 様)
【球】


(写真提供:丸紅情報システムズ株式会社 様)
表1 長さ区分の校正範囲

電気区分
電気区分では、新たに直流電圧測定装置、直流電流測定装置、交流電圧測定装置、交流電流測定装置のJCSS校正が可能となりました。多くの産業現場で普及しているデジタルマルチメータや直動式電気指示計器(アナログメータ)のJCSS校正が可能です。また、これまで1 Ω、100 Ω、10 kΩのみ対応可能であった直流抵抗器(標準抵抗器)についても、10 Ω、1 kΩ、100 kΩを追加するとともに、不確かさを低減しました。それぞれの校正範囲と拡張不確かさは下表の通りです。
表2 電気区分の校正範囲



温度区分
温度区分では、接触式温度計である熱電対の比較校正法で登録認定を受けていますが、今回JISの許容差クラス1相当の不確かさを実現しました。校正装置となる電気炉の温度安定を判断する指標として、従来の炉の温調用温度計と標準用温度計に加え、新たに依頼品の測定値からも安定性を判断することで、より精度よく試験を実施することが可能になりました。
そのため、従来の不確かさはJISの許容差の分類でクラス2相当の2.5 ℃でしたが、今回の取組みによってクラス1相当となる1.8 ℃と、より精度よく校正できるようになりました。

展示会・セミナー情報
2024年7月に開催される国内最大級の自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2024 NAGOYA」や、11月に開催される産業交流展2024などの展示会で、都産技研におけるJCSS事業について展示を行う予定です。
また、企業のみなさまの状況に応じたJCSS取得の支援や計測器の管理、計測に関するセミナーなども承っておりますので、遠慮なくご相談ください。
関連情報
同じカテゴリの記事