テクスチャデザイン(表面意匠加工)の事例と加工機器
公開日:2024年10月15日 最終更新日:2024年11月12日
テクスチャデザイン(表面意匠加工)はCMFデザインと言われる、製品の魅力に直結する要素の一つです。CMFデザインは、Color(色)/Material(素材)/Finish(表面加工などの仕上げ)に大別されます。本記事ではUV厚手プリンタやCO2レーザー加工機などを活用したFinishについての事例と加工機をご紹介します。
テクスチャデザインの導入
テクスチャデザインは一例として次のようなプロセスで進められます。
(1) 社会背景や機能を考慮した図柄の検討
(2) 加工対象と加工機の検討
(3) テスト加工(加工機の出力調整による試作品質の向上)
(4) 対象への加工の実施(試作作成)
(1) のプロセスでデザイナが提案するテクスチャには、色合いや凹凸表現などさまざまな要素があります。量産において実装したいテクスチャが、製造方法が異なる試作段階で、再現する事は困難な場合があります。また、複数のテクスチャデザイン案を比較検討したい場合、試作の手段を知ることが重要です。
そこで本記事では、テクスチャデザインに関連する都産技研が有する加工機の事例をご紹介します。
UV厚手プリンターを活用したテクスチャデザイン
UV厚手プリンターでは、高さのある平面(100㎜まで)に対し、UV硬化インクを用いて、さまざまな素材への印刷が可能です。インクカラーはCMYKに加え、白、透明の6色を備えています。試作品や小ロット品への、メーカーロゴやスイッチボタンなどのインターフェースを印刷することに使用されることが多い加工機です。インクを複数回印刷し、積層することで複雑な凹凸を持つテクスチャを作成できます。インクを塗布する量は、印刷設定で変更することが可能なため、凹凸の高低差をコントロールすることが可能です。
CO2レーザー加工機を活用したテクスチャデザイン
CO2レーザー加工機はレーザー光の照射により、プラスチック、繊維、木材など、さまざまな素材の切断および彫刻が行える加工機です。図面データ通りに加工できる点を活かし、治具(加工を効率よく行うための補助具)を作成する際にも使用されます。図柄のデザインデータを彫刻することで、テクスチャを作成できます。加工対象に直接彫刻するため、剥離などの心配がありません。また、レーザー光の出力値を変化させることで、彫刻の深さを調整することも可能です。
レーザー照射時に発生する熱は、加工対象への影響が大きく、素材に一定の制限があります。特に深さのある彫刻を行う場合は、端材でのテスト加工をおすすめします。
フェムト秒レーザ加工機を活用したテクスチャデザイン
フェムト秒レーザ加工機は、照射されるレーザのパルス幅が短く、熱の影響を受けやすい対象や金型の微細加工などに使用されます。5軸制御による3D加工が可能で、曲面に対して彫刻加工することができます。また、熱の影響を軽減できることから、細かく美しい加工表面も特徴的です。加工データの作成が複雑なため、素材やプロセスの検討など、慎重な精査が必要です。
※フェムト秒レーザ加工機は城南支所設置機器です
図4 フェムト秒レーザ加工機を活用したテクスチャデザイン事例
左:アルミ平面への彫刻 右:アルミパイプ表面への彫刻
城東支所のデザイン支援
プロダクトデザインにおけるテクスチャデザインは、CMFデザインというキーワードの流行、社会環境の変化、UX(ユーザーエクスペリエンス)への配慮など、さまざまな要因から注目されている技術分野です。
城東支所では製品の意匠設計やご要望に応じたプロトタイプ作成など、プロダクトデザインに関連する技術支援を行っています。テクスチャデザインによる試作品の高付加価値化、ご紹介した機器の活用方法などもご支援しています。
今後の技術セミナーについて
テクスチャデザインに関連する技術セミナーを2024年11月上旬に開催予定です。セミナーでは外部講師を招き、社会・環境にかかわるサステナブル素材や、ウェルビーイングの観点から創意工夫が施された質感デザインについて、近年および今後の動向を分かりやすく解説します。ここでご紹介した機器による事例もご覧いただけます。開催内容、受講申し込みは、今後、都産技研のウェブページでお知らせします。
お問い合わせ
- 城東支所 プロダクトデザイン TEL:03-5530-2180
- 城南支所 試作加工 TEL:03-3733-6281
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