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物事を“流れ”でとらえ、新たな価値創造につなげる

印刷用ページを表示する 更新日:2021年6月15日更新

TIRI NEWS 2021年6月 新理事メッセージトップ画像

2021年4月より、角口勝彦が理事に就任いたしました。
新たに理事を務めるにあたり、現在の産業を取り巻く状況や、期待される都産技研の役割、理事としての抱負を聞きました。

地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター 理事 角口 勝彦

(外部リンク)

日本の産業に見る二つの“流れ”

昨年度(2020年度)まで、大阪にある国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)の関西センターで所長を務めておりました。と言っても、私自身は北九州市の出身です。製鉄の街で幼少期を過ごし、大学ではボイラーや原子炉内で見られる、非定常な液体と蒸気の流れについて研究していました。九州大学で助教授を務めた後は、つくばの通産省工業技術院 資源環境技術総合研究所(のちの産総研つくば西事業所)へ移り、エネルギー活用の研究に携わってきました。

角口理事の写真1

長年にわたり、熱や流体を研究してきましたので、さまざまな物事を流れで見る“癖”がつきました。日本の産業にも、二つの大きな流れがあるかと思います。一つは、「サービス産業化への転換」。既存の産業になんらかのサービスの要素を加えることにより、付加価値を高める動きです。第二次産業のものづくりにおいても、品質や性能の追求に留まらず、サービスを求められる流れはこの先も続くでしょう。

もう一つは、「異なる時間・空間とのつながり」です。インターネットやスマートフォンの普及は、多くの人や地域をつなげました。また、太陽光利用などに活用される蓄熱や蓄電のしくみは、「溜めるとき」と「使うとき」という、異なる時間軸を一つ一つにつなげています。異なる分野、異なる空間の接続は、新たなイノベーションを生み、問題解決や価値創造にもつながるはずです。

角口理事学会発表写真
韓国チェジュ(Jeju)島にて国際学会に参加した様子
(The 7th International Heat Pipe Symposium, 2003年10月)

いま都産技研にできることは

産業を取り巻く流れにおいて、日本は諸外国に比べ遅れを取っていると感じます。「選択と集中」がうまく機能していたからこそ、流れに乗る必要がなかったのでしょう。しかしこのコロナ禍で、一つに集中したゆえに大きなダメージを受けた企業も少なくありません。選択と集中モデルを、もう一度見直す時期なのではないかと思います。

このような状況のなかで、都産技研が中小企業の皆さまにできることはなにか。一つは多角化への支援ではないかと考えています。選択と集中から脱するには、これまで培ってきた技術をもとに、新しいものづくりへのシフトが必要です。共同研究や技術支援、設備提供など、都産技研にできることは数多くあるでしょう。また、SDGs(Sustainable Development Goals) への取り組みも無視できません。脱炭素や脱プラスチックなど、ものづくりにも社会課題解決の意識が求められる時代です。いかにSDGsに取り組めばよいか、都産技研からもアドバイスができればと思います。

 

「次の100年」に向けて

都産技研は2021年11月に100周年を迎えます。実は産総研関西センターも、2018年に100周年を迎えたばかり。所長として式典でスピーチを任され、改めて100年という歴史の重さを実感しました。都産技研でも100周年を迎えることを大変喜ばしく感じております。現役職員のみならず、これまでお世話になったOB・OGの方々にも喜んでいただければと思います。

100周年を迎えて思うのは、「次の100年」に向けた活動です。都内のさまざまな機関や企業と連携しながら、時には旗振り役として、プレゼンスを高めていく。これも理事の仕事の一つだと思っています。中小企業のみなさんにとっては、不安や疑問を相談しやすいような、敷居の低い組織でありたいですね。私も産総研時代に、産学官連携の活動を通じて、さまざまな企業の方と会話してきましたので、ぜひ都産技研でも中小企業のみなさんとフランクにお付き合いできたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

角口理事の写真2

 

(外部リンク)

角口理事縦写真

理事
角口 勝彦(かどぐち かつひこ)

九州大学大学院でエネルギー分野を学び、同大学助教授を務める。通商産業省工業技術院主任研究官、産業技術総合研究所つくばセンター次長、同関西センター所長を歴任し、2021年4月より現職。趣味は料理。

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