Q46:当社は構想設計のみ行っており、詳細設計から製造および販売(輸出)は製造委託先が行います。この場合、当社でCEマーキングの適合宣言はできるのでしょうか?
最終更新日:2025年3月6日
製造者
CEマーキングにおいて、名称または商標で製品を上市する者が「製造者」となりますので、貴社が宣言することはできません。
一方で、RoHS指令などの適合性評価は貴社が実施する必要がありますが、製品の設計、製造の適合性評価の全ての責任は、上市する者(製造委託元)が負うことになります。
製造者の義務
RoHS(II)指令のCEマーキング宣言は、第7条(製造者の義務)で規定されています。
RoHS(II)指令 第7条(製造者の義務)
加盟国は、以下を確実にしなくてはならない。
- 電気電子機器 を上市する時は、製造者は第4条に規定されている要求に従い設計、製造されていることを確実にすること。
- 製造者は、要求されている技術文書を作成し、決定(EC)768/2008 の附属書IIのモジュールA に従い、内部生産管理手続きを実施するかまたは実施させること。
- 電気電子機器の適切な要求への準拠がbに言及される手順より証明される場合、製造者は、EU 適合宣言書を作成し完成品にCE マーキングを貼付する。
他のEU法令が少なくとも同程度に厳しい適合性評価手順の適用を要求する場合、製造者はこの指令の第4条(1)の要求への準拠はその手順の文脈に含めて証明することができる。単一の技術文書が作成することができる。
製造者
「製造者」の定義
「製造者」の定義は、第3条(用語の定義)で、「あらゆる自然人または法人で、電気電子機器を製造する、または、設計ないし製造させてその電気電子機器を自らの名称または商標で販売する者を意味する」としています。
CEマーキングの適合宣言は、第7条で「製造者の義務」により実施する「製造者」は「電気電子機器を製造する、または、設計ないし製造させる者」と委託加工を含む広い概念になります。
完全委託加工(ファブレス)であっても製造者となり得ますが、「第4条に規定されている要求に従い設計、製造されていることを確実にすること」が必要です。
また、技術文書の作成と適合宣言は「製造者」の義務です。
委託加工
委託加工についてブルーガイド2022(外部リンク)の5.1.3項(適合性評価における運用者-サプライチェーンにおける適合性評価の位置づけ)で「製造者の任務」を次としてまとめています。
製造者の任務
関連する法的要求事項への製品の適合性に責任を負うのは製造者であることは明確でなくてはなりません。
この点において、名称または商標で製品を上市する者は、EU法令の目的において、自動的に製造者となります。
従って、製品の設計、製造の適合性評価の全ての責任は、適合性評価を実質的に他の者が実施したとしても、その製造者が負うものです。製品の適合性を立証するために必要なすべての文書および証明書を保持しなくてはなりません。これら文書は、その製造者の名称によらなくてもよいとされています。
製造委託元は、貴社のような製造委託先を第4条に規定されている要求に従い設計、製造されていることを確実にする対応行い、その手順や実施記録等を委託先の名称でもよいのですが、保持する必要があります。
手順や実施記録等をすべて貴社が保管することは要求されていなく、電子ファイルなどでアクセスできることでも許容できる、すなわちトレサビリティが確保できていればよいことになります。
なお、規則 (EC)764/2008「他の加盟国で合法的に販売されている製品への特定の国内技術規則の適用に関する規則」(laying down procedures relating to the application of certain national technical rules to products lawfully marketed in another Member State)の置換規則(EU)2019/515(外部リンク)により、手順や実施記録等は、当局の求めに応じて15営業日以内に当局の理解できる言語で提供できなくてはなりません。