Q41:サプライヤーから提出される特定有害化学物質情報は、一般的にどの程度の信頼性があるものでしょうか?
最終更新日:2025年3月6日
情報の信頼性確保
サプライヤーから提出される情報の信頼性確保は、サプライヤーにゆだねるのでなく、製造者が主体的に評価するものです。
サプライヤーから提出される情報の信頼性確保
RoHS(II)指令 第7条(a)、(b)項には、製造者の義務として以下の規定があります。
- 製造者は第4条に規定されている要求に従い設計・製造されていることを確実にすること
- 製造者は、要求されている技術文書を作成し、決定No.768/2008/ECの付属書IIのモジュールAに従い、内部生産管理手続きを実施する、もしくは実施させること
製造者は、自社内の対応だけでなくサプライヤーを含めたサプライチェーン全体での適合性確認を自ら行うことが必要となります。
つまり、サプライヤーから提出される情報の信頼性の確保は、サプライヤーにゆだねるのでなく、製造者が主体的に評価していく必要があります。
RoHS(II)指令における適合性確認
EN IEC 63000:2018
RoHS(II)指令での適合性確認は、整合規格であるEN IEC 63000:2018(有害物質の使用制限に関する電気・電子製品の評価のための技術文書)で行います。そこでは適合性確認を行う上で必要とされる技術文書を下記のように示しています。
- サプライヤーによる自己宣言 および/または(and/or) 契約上の合意
- 材料宣言
- 分析試験結果(EN 62321に基づいた分析方法による)
これらを複数揃える形とするか、また一つだけ揃える形とするかは、製造者の下記の評価(アセスメント)に基づくとしています。
- 材料、部品、半組立品に特定化学物質の含有の可能性
- サプライヤーの信頼性格付け
このうち、サプライヤーの信頼性については、 EN IEC 63000では、「サプライヤーの過去の経験」や「サプライヤーの出荷試験や検査の結果」から評価するとしています。
この評価は貴社内でISO 9001などの品質マネジメントシステムの一つとして手順を確立しておくことで、高い説得性を持って行うことができます。
ISO 9001では、サプライヤー評価を定期的に行う手順を定めています。
サプライヤーの信頼性を高める取り組み
貴社内の既存の仕組みを活用して、サプライヤーの信頼性を高める取り組みが重要となります。
サプライヤーから提供される情報が、社内のマネジメントシステムに則り、サプライチェーンの川上企業から情報収集、内容確認、提供情報の作成等の手続きを経た上で提供された情報か、それとも、出典が不明確であり特定の担当者の判断だけで作成されたものかを、上述の評価方法によって見極めた上で情報の提供を受けることが、サプライヤーのみならず貴社自身が評価を受けた時の信頼性確保にもつながります。
製品含有化学物質管理のガイドラインであるIEC 62474に準拠している情報伝達システム「chemSHERPA」も活用できます。
- 参考: MTEP海外法規制に関する解説テキスト「chemSHERPAを使ってできること」