Q22:川中企業でもRoHS(II)指令に基づく管理が必要でしょうか?
最終更新日:2025年3月3日
技術文書の作成は川下企業である製造者の義務
RoHS(II)指令の第7条で、電気・電子機器の製造者の義務として、整合規格 EN IEC 63000:2018「有害物質の制限に関する電気・電子製品の評価のための技術文書作成」に適合する技術文書の作成が定められています。
これは、川下企業である製造者の義務とされており、川中企業の部品メーカーは必ずしもEN IEC 63000:2018に基づいた管理を行う必要はありません。
RoHS(II)指令の順法確認
RoHS(II)指令の順法確認は、均質物質と呼ばれる機械的に分解できる最小単位を対象として、サプライチェーンマネジメントの工程ごとに行うこととしています。
これは、最終製品になってから特定有害化学物質の濃度を測定することが困難であるからです。
最終製品の製造者
川下企業である最終製品の製造者は、サプライヤーから部材の順法確認情報を取り寄せ、部材ごとの順法確認を行います。
川下企業が各部材の順法確認情報を取り寄せできない場合には、サプライヤーの変更や調達品の変更を行う必要が生じます。
そのため、最終製品の製造者から順法確認に必要な文書提出が求められた場合、川中企業は文書の提出に応じることが望ましいといえます。
具体的には、川下企業は、整合規格 EN IEC 63000:2018で規定される「サプライヤーの供給する材料、部品および半組立品などへの特定化学物質の含有の可能性」および「サプライヤーの信頼性格付け」の評価を行った結果に基づき、以下に示すいずれか(またはそれらの組み合わせ)を川中企業へ求めると考えられます。
サプライヤーによる自己宣言書/契約上の合意
調達部材に関して、含有する特定有害化学物質が最大許容濃度以下であることの証明書や要求仕様を満たすことを確約する署名入りの契約書です。
含有化学物質情報
含有される特定有害化学物質の情報です。
重要な事項については、サプライヤーへの注文書などの購買文書に記載する必要があります。
情報提供する有害化学物質(マテリアルデクラレーション)は、RoHS(II)指令の特定有害化学物質だけでなく、REACH規則のCLS (Candidate List of Substances of very high concern for Authorisation)なども顧客の求めに応じて提供します。
情報提供する有害化学物質が多いと負担が増えますので、IEC 62474:2012(電気電子業界及びその製品に関するマテリアルデクラレーション)のDSL(Declarable Substance List:報告物質リスト)、DSLの物質を展開したRSL(Reference Substance List:参考物質)を対象とすると負担が軽減されます。
DSL、RSLは、電気電子業界に関連する物質を絞っており、半年毎に更新されるCLSにも対応しています。
なお、DSL、RSLは IEC 62474(外部リンク) から確認でき、情報伝達ツールとしては、chemSHERPAが有効です。
・ 参考:MTEP海外法規制に関する解説テキスト「chemSHELPAを使ってできること」
分析試験結果
EN 62321シリーズによる分析試験結果です。
サプライヤーの信頼性格付け
サプライヤーの信頼性格付けについては、「サプライヤーの過去の経験」や「サプライヤーの出荷試験や検査の結果」から評価しています。
多くの企業では、上記のいずれかまたはそれらの組み合わせの情報提供に加えて、ISO 9001(品質マネジメンの国際規格)、JIS Z 7201(製品含有化学物質管理-原則及び指針)、JAMP(アーティクルマネジメント推進協議会)が発行している製品含有化学物質管理ガイドライン(外部リンク)に基づいた「製品含有化学物質管理体制の構築・運用」などにより、情報提供内容の信頼性を担保しようとしています。