Q18:RoHS(II)指令に対応するための製造委託管理について教えてください。
最終更新日:2025年3月3日
「製造者」の義務
RoHS(II)指令の整合規格のEN IEC63000:2018では「製造者は、電気・電子機器が有害物質の規制を遵守していることを証明するために技術文書を作成しなければならない」と定めています。
そのために、サプライチェーンの上流に遡って「管理状態」の確認や「証拠書類」の収集を行うことを求めています。
なお、RoHS(II)指令では「製造者」を自社の名称、ブランドで電気・電子機器を販売する者と定義しています。
製造委託先の管理
製造委託には、ファブレス、OEM、部分製造委託などがありますが、RoHS(II)指令における製造者の義務および定義から、いずれであっても委託元となる「製造者」が製造者としての義務を履行できるよう、製造委託先の管理を行うことが求められます。
具体的な管理内容「外部委託先の管理」
製造委託先の管理方法
製造委託先を具体的に管理する方法としては、基準書、作業手順書、QC工程表といった工程管理表を双方合意で作成します。
その合意に基づいて、製造委託先の管理責任部門は委託元の指示通りに管理ができているかを確認し、委託元の要請に応じて適切に管理していることを示すことが必要となります。
実施方法から記録方法に関する一連の流れを外部委託先管理規定として文書化することも重要です。
なお、製造委託先の特定有害化学物質の管理状況の確認は、書面調査や実地監査によって行います。
具体的な確認事項
具体的には、EN IEC63000:2018で規定される「サプライヤーの信頼性格付け」の評価に求められる設計や購買、製造に関する管理項目、実施内容の記録、一連の流れの文書化などがあげられます。
管理するポイントは部材調達先の信頼性、サプライチェーンにおける商品管理、製造工程の検査、汚染のリスク、店頭管理、従業員の知識や教育方法などがありますが、製造委託の範囲によって、管理上のリスクが異なるため、重点的に管理すべき事項は異なります。
自社製品の特定有害化学物質管理を適切に行うために、委託元は委託範囲に応じて、委託先に必要な管理を求め、定期的に委託先の管理状況を確認することが必要です。
委託先が独自に部材の調達を実施する場合
委託元が部材を供給する場合に比べ、有害物質を含有するリスクが高まるため、委託先の購買が適切に行われているかが重要な管理項目になります。
自社が設計し、製造を委託している場合
自社の設計指示に従って委託先が適切に製造しているかが重要です。
設計から製造まで委託している場合
設計段階から特定有害化学物質を考慮した上で、設計指示に従って、購買や製造といった関連する工程が管理されているかが重要となります。
ファブレス企業
工場を持たないファブレス(fabless)企業であっても、サプライチェーンを管理することで、製造者として適合宣言ができます。
ブルーガイド2022(外部リンク)の5.1.3. (適合性評価の運用者サプライチェーンにおける適合性評価の位置付け)で、適合性評価手順の利害関係者の任務を示し、製造者の任務は以下としています。
製造者の任務
- 製品の設計、製造および試験、または設計、製造もしくは試験を行う
- 製品技術文書を作成する
- 製品のコンプライアンスを確保するために必要なあらゆる措置を講じる
- 製品の肯定的な評価に基づき、EU適合宣言書を作成し、法規が要求する場合、製品にCEマークを貼付する
- 公認機関の介入に際して、法規が要求する場合には、製品に公認機関の識別番号を付す
製品が関連する法的要求事項に適合していることについては、常に製造者が責任を負っていることを明確にしなければなりません。
この点において、製品をその名称または商標の下で市場に投入する経済事業者(economic operator:製造者、代理人、輸入者および流通業者)は、EU法令の目的上、自動的に製造者となります。
そのため、たとえそれが実際に他の者によって行われたとしても、その事業者は製品の適合性評価(設計と生産)の全責任を負います。
さらに、その事業者は、製品の適合性を実証するために必要なすべての文書および、関連する場合には、証明書を所持していなければなりません。
ただし、これらは、その事業者の名義である必要はありません。