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環境防カビ試験
カビから工業製品や環境を守るために
防カビ試験は木製品、プラスチックおよび皮革製品など身の回りの製品または工業材料のカビに対する抵抗性を調べる試験です。
国内外の規格に基づいた防カビ試験、カビ同定試験、木材腐朽試験、薬剤効力試験(MIC※1試験・ハロー試験)、環境中の浮遊真菌数の測定を実施しています。
※1)MIC:Minimal Inhibitory Concentration (最小発育阻止濃度)
カビの発生と影響
カビは微生物の一種で糸状菌と呼ばれ、実は空気中に常に存在し、私たちの周りを漂っています。この空気中のカビは、空気中に漂っているうちに物質に付着し、適当な栄養・水分や温度条件が揃うと発芽し始め、菌糸を伸ばして生育し始めます。これらのカビ生育は、工業製品を劣化させたり、アレルギーの誘発、環境の汚染原因になります。
依頼試験
カビ抵抗性試験
カビ抵抗性試験は、工業製品または工業材料のカビに対する抵抗性を調べる試験です。JIS や ASTM※2などの規格に対応した試験を実施しています。
※2)ASTM:世界最大規模の標準化団体であるASTM International(米国試験材料協会)が策定・発行する規格。
写真)試験に用いる菌株
規格に適合した試験
- JIS Z 2911 「カビ抵抗性試験」
- 海外規格への対応
ASTM G21-96 「高分子材料のカビ抵抗性試験(アメリカ)」他
指定試験機関登録
都産技研は、HOWTEC※3の指定試験機関登録を受けています。新たに木材防腐剤を登録する際には都産技研の「木材保存剤等の性能試験(室内防腐試験、防カビ性能試験)」をご活用ください。
※3)HOWTECは、財団法人日本住宅・木材技術センターの略称です。
写真)腐朽菌が生育した培地で木材試験片を12週間連続して腐らせる様子
カビ同定試験
カビ同定試験では顕微鏡を用いた形態観察、または遺伝子の塩基配列の解析によってカビの菌種を特定することができます。
形態観察によるカビの同定例
繊維に発生したカビ状の異物 カビ分離・純培養を行う 形態的特徴から菌種を特定する
木材腐朽試験
木材耐朽性(腐りにくさ)および木材保存剤の性能を調べることができます。
規格に適合した試験
- JIS Z 2101 「木材耐久性試験」
- JIS K 1571 「木材保存剤の性能試験」
浮遊真菌測定
エアサンプラーまたは平板培地によって空中浮遊真菌の菌数および菌叢を調べることができます。
写真)培養後の空中浮遊真菌
その他の取り組み
共同研究による製品化
高い技術力を生かし、新たな防カビ剤に関する製品開発支援を行っています。製品化事例の一つに、桐たんすの風合いを変えない新規防カビ剤の開発・製品化を行いました。
左)開発した防カビ剤の使用例
右)開発した桐たんす用防カビ剤
担当研究員から
お客さまと一緒に行う「環境防カビ試験」
Q.試験の目的はどのようなものですか?
A.
身の回りの工業製品や住環境などにあるものに発生する、カビの種類の特定や、カビが及ぼす影響について測定します。お客さまと相談しながらカビを防ぐための対策を立てることを目的にしています。
Q.その成果はどのように活かされますか?
A.
あらゆる材料を試験するため、それら材料とカビの関係、発生するカビの種類などの結果がノウハウとして集まっています。今後、別の試験への応用や、医薬、化粧品などの分野での応用は十分に可能性があります。
Q.この試験の特徴は何ですか?
A.
これまではカビの抵抗性試験などJIS規格に準拠した試験を行ってきましたが、今年度から新たに、カビの菌種を特定する「カビ同定試験」が行えることが非常に大きなポイントです。
お問い合わせ
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