Q50:REACH規則もRoHS(II)指令のように、技術文書は必要ですか?
最終更新日:2025年3月7日
RoHS(II)指令
RoHS(II)指令は、電気・電子機器を対象にした製品含有化学物質の法規制で、製品中の特定有害物質の非含有を証明するために、整合規格EN IEC 63000:2018にしたがって技術文書(Technical Documentation)を整備することが求められます。
REACH規則
REACH規則は総合的な化学物質管理の法規制であり、RoHS(II)指令のように製品中の特定有害物質の非含有を証明する技術文書(Technical Documentation)の整備は要求していません。
登録
REACH規則では、物質の登録において、物質の製造者、輸入者、または域外製造者の唯一の代理人に対して技術一式文書の提出を要求しています。
技術一式文書(Registration Dossier)
技術一式文書は下記を記載したもので、ECHA(欧州化学品庁)に提出することが求められます。
- 登録者の身元情報
- 物質の名称などの識別情報
- 物質の製造および用途に関する情報
- 分類と表示
- 安全使用のための説明や物質の特性に関する情報
化学物質安全性報告書(CSR:Chemical Safety Report)
さらに、年間製造・輸入量が10トン以上の物質は化学物質安全性評価(CSA:Chemical Safety Assessment)を行い、その結果を化学物質安全性報告書(CSR:Chemical Safety Report)としてECHAに提出することが義務付けられています。
また、認可申請の際、登録時にCSRが提出されていない場合には、取扱量にかかわらずCSRの提出が必要となります。
RoHS(II)指令とREACH規則の対応の違い
対象となる企業の対応義務は異なる
REACH規則の技術一式文書は物質、混合物、成形品いずれかに含有される「物質」を対象とし、RoHS(II)指令の技術文書は「電気・電子機器」を対象にしている点で、文書の目的が異なることから、対象となる企業の対応義務も異なります。
EU法規制
企業の自主的な取り組みを要求
EU法規制の特徴は、例えば、REACH規則前文第86文節
物質そのもの、混合物または成形品に含まれる物質を製造、上市または使用することに対し、人の健康および環境に高いレベルでの保護を確実とするために必要とされる適切なリスク管理措置を確認することは、製造者、輸入者および川下使用者の責任であるべきである。しかし、それが不十分と考えられる場合や、欧州共同体の法規が正当化される場合には、適切な制限が定められるべきである。
とされているように、企業の自主的取り組み が要求されます。
順法性
EU法規制の順法性は、デューデリジェンス(Due diligence)と言われる、企業として実施すべきことを実施しているということの表明が必要となります。
この企業としての取り組みが妥当であることの表明が技術的な説明(技術文書)となります。このことは、REACH規則やRoHS(II)指令以外も同じ考え方です。