Q48:RoHS(II)指令の対象の電気・電子製品や部品などの成形品もREACH規則の対象になるのでしょうか?
最終更新日:2025年3月7日
それぞれの法規制への対応が必要
RoHS(II)指令に対応した電気・電子機器がREACH規則にも対応しているとは一概にはいえないため、それぞれの法規制を確認し、必要に応じて対応しなければなりません。
電気・電子製品や部品といった成形品もREACH規則の対象になる場合がある
REACH規則第3条3項では、
成形品とは、生産時に与えられる特定な形状、表面またはデザインがその化学組成よりも大きく機能を決定する物体をいう
と定義しており、REACH規則における成形品の義務は大きく分けて以下の4点です。
(成形品の例: 家具、衣服、自動車、本、玩具、台所設備および電子機器など)
REACH規則の成形品の義務
成形品中の意図的放出物質の登録(REACH規則 第7条 1項)
香り付き消しゴムの「匂いの物質」のように、通常の使用で成形品から意図的に放出される物質が年間1トンを超える場合は、成形品の生産者または輸入者はECHA(欧州化学品庁)に物質を登録することが義務付けられています。
成形品中の物質の届出(REACH規則 第7条 2項)
成形品の生産者または輸入者は、REACH規則第59条によるCLS(Candidate List of Substances of very high concern for authorisation:認可候補物質)を下記の条件が満たされる場合は、ECHAに届出する義務があります。
- 物質が成形品の中に生産者または輸入者当たりで合計して年間1 トンを超える量であること
- 物質が成形品の中に重量比(w/w)0.1%を超える濃度で存在すること
金属に塗装したような電気・電子部品を単体でEU域内に輸入する場合
母体の金属の重量を分母としたCLS(SVHC:高懸念物質 とも言われます)の含有率が0.1%を超え、かつ年間1トンを超えるとECHAへの届出の対象となります。
電気・電子部品が組み込まれたパソコンのような電子機器の場合
パソコンを分母として捉えるのではなく、最小の成形品となる個々の構成部品をとして捉えます。構成部品それぞれの重量を分母としたCLS含有率を求め、含有率が0.1%を超える構成部品については、構成部品中のCLSの物質毎の重量を合算します。物質ごとに、合算されたCLSの総量が生産者または輸入者あたり年間1トン超の場合はECHAへの届出義務があります。
成形品中の物質の情報伝達(REACH規則 第33条)
重量比(w/w)0.1%を超える濃度でCLSを含む成形品のいかなる供給者も、供給者に利用可能ならば、成形品の安全な使用を認めるのに十分な情報(少なくとも物質名を含む)を、成形品の受領者に対して提供しなければなりません。
また、消費者から要求があった場合は、要求を受けてから45日以内に情報提供する必要があります。
SCIP登録
2021年1月5日からSCIP(Substances of Concern In articles as such or in complex objects (Products))登録(正確にはNotification(届出))という新たな義務が生じました。
SCIP登録
- 根拠法
SCIP登録は、ECHAが所管しますが、根拠法はREACH規則ではなく、指令2008/98/EC(廃棄物指令:Waste Framework Directive(WFD))です。
- 目的
リサイクルした二次原料に有害化学物質を含有していないように、製品(成形品)に含有しているCLSをデータベースに登録しておき、リサイクル時に利用できるようにするものです。
- 義務
SCIP登録義務は、前項の重量比(w/w)0.1%を超える濃度でCLSを含む成形品の供給者です。
- 登録情報
成形品特定情報、安全な使用に関する情報、CLS物質情報、CLSの含有箇所に関する情報などです。
SCIP データベースの詳細情報要件
- SCIPデータベースの詳細情報要件(環境省仮訳)(外部リンク)
参考 (「CLS」と「SVHC」は同じ意味?)
対象候補物質リストに記載されている物質は「SVHC」 と呼ばれることがありますが、最近では、広い意味での SVHC(Substances of Very High Concern:高懸念物質)と区別するため、認可対象候補物質リストに記載されている物質は CL物質やCLS (Candidate List of Substances of very high concern for Authorization)と呼ばれるようになっています。
CLSのリストはECHAのCandidate List of substances of very higt concern for Authorisation(外部リンク)で調べることができます。