Q47:当社は電気・電子製品を世界各国に輸出しています。各国の主要な法規制対象物質を網羅した製品含有化学物質の業界標準はありますか?
最終更新日:2025年3月7日
製品含有化学物質情報伝達に関する材料宣言の規格
EUでは電気・電子製品に特定有害化学物質を含有させないことを目的として制定されたRoHS(II)指令があります。また、化学品の情報開示に関しては、REACH規則で登録・評価・許可・制限について規定しています。各国で同様の法律はあるものの、国ごとに法規制対象物質や最大許容濃度が異なります。
上記のような背景から企業の負担を減らすために、業界で法規制対象物質リストを整備しています。
電気・電子製品についてはIEC(国際電気標準会議)が、含有化学物質情報伝達に関する材料宣言の規格としてIEC 62474を発行、公表しています。
IEC 62474の概要
IEC 62474の目的は、報告物質の要求事項の整理、物質・材料の情報伝達のプロトコルの標準化、データの転送や処理を容易にすることで、サプライチェーン全体の情報の調和と経済的効率の向上を行うこととされています。
IEC 62474は、材料宣言の要件を規定した文書(標準)とデータベースから成っています。
データベースには、
- 報告対象物質リスト(DSL: Declarable Substance List)
- 参照物質リスト(RSL:Reference Substance List)
- 材料分類リスト(MCL:Material Class List)
- 伝達書式規定(XML schema for materials declaration)
などが収載され、IEC 62474データベース(外部リンク)で公開されています。
DSLには報告要件が「必須」である報告対象物質(DS:Declarable Substance)、および報告対象物質群(DSG:Declarable Substances group)が収載されています。
また、RSLにはDSGに属する物質のリストが収載されています。
これらのデータベースは検証チーム(VT62474: Validation Team 62474)により、定期的にアップデートされる仕組みになっています。
各国の含有化学物質管理
EUでは、IEC 62474はRoHS指令の整合規格EN IEC 63000:2018の引用規格となっています。
遵守宣言はEN IEC 63000:2018の手順でIEC 62474の基準で行われます。特に遵守宣言の根拠文書のうちの材料宣言は、IEC 62474に規定された要件を満たすべきとされています(但し強制ではありません)。
中国、韓国、タイ、インド、アメリカ(カリフォルニア州など)などでもEU-RoHS指令をモデルにした有害化学物質規制があります。
日本では、資源有効利用促進法の改正省令やJIS C 0950で、情報提供(表示マーク等)が義務付けられています。また、有害化学物質の管理でIEC62474に準拠した情報伝達のしくみとして、chemSHERPAが2016年から運用されています。
- 参考: MTEP海外法規制に関する解説テキスト 「chemSHERPAを使ってできること」