Q44:RoHS(II)対応で川上企業が品質管理の中で4M変更を行っても、川中企業に、その情報が流れてこない場合があります。どうすれば良いでしょうか?
最終更新日:2025年3月6日
川中企業の対応
川上企業が品質管理の中で4M変更を行っても、川中企業に情報が流れてこないケースがあり、川中企業はどう対応すべきかを解説します。
「4M」:人(Man)、機械 (Machine)、材料 (Material)、方法 (Method)
「川上企業」:原料メーカー
「川中企業」:中間品メーカー
「川下企業」:最終製品メーカー
リスクの洗い出し
4M変更の通知や承認を求める項目について、川上企業との間における契約書や購買仕様書などで、その目的を具体的に規定します。リスクの高い材料や工程を洗い出して、何をどのように変更する場合に通知が必要かを規定しておきます。
ただし、そのような規定があっても、川上企業に部品や材料を供給している企業が変更の通知なく材料成分を変えてしまう、いわゆるサイレントチェンジが発生する恐れもあります。
このため、規定内容を1次サプライヤーだけでなく、3次、4次のサプライヤーまで伝達することを義務付けておくことも大切です。
4M変更の管理
本来、4M変更の管理は自社の品質管理の一部として行うものです。
したがって、4M管理を行っていれば(4M変更通知を受け取っていれば)品質確保ができるというものではありません。
製造工程の設計段階でQCポイントを設定し、装置保全基準を決め、作業基準を作成し、作業員の教育を行うなどの一連の品質確保のための仕組みを作ることが先決です。
そのうえで、4M変更管理や変化点管理を行い突発的な不良発生を未然に防ぐことになります。
工程・機械ごとにリスク評価
すべての工程・機械で4M変更管理を行う事は現実的ではありませんので、工程・機械ごとにリスク評価を行いリスクの高い工程に絞り込んで管理を行います。
RoHS(II)指令対応で考えると、使用する材料、めっき工程やはんだ工程などはリスクが高く、梱包工程などはリスクが低いと考えられます。
一般的にリスクが高い工程でも4M変更後の確認がきちんと決められていればリスクは低くなります。
このような観点で川上企業の品質管理システム全体をどこの工程のリスクが高いのか一緒に議論して、本当に4M変更リスクが高いクリティカル工程に絞った「4M変更通知」「4M変更承認」を依頼するのも一手です。
クリティカル工程の絞り込み
クリティカル工程の絞り込みは、食品業界で多用されているHACCP(外部リンク)(Hazard Analysis Critical Control Point:危害要因分析重要管理点)の手順の応用などが効果的です。
ISO 9001(品質マネジメントの国際規格)や品質マネジメントシステムのスモールモデルのエコステージなどもリスク管理であり、サプライヤーがこれらのマネジメントシステムを導入していれば、この管理手順に4M管理を組み込むと効率的です。