Q35:RoHS(II)指令への適合を証明するためには、必ず分析試験結果が必要なのでしょうか?
最終更新日:2025年3月3日
必ずしも、分析試験結果が必要ではない
「サプライヤーによる自己宣言または契約上の合意」だけで良い場合、あるいは「材料宣言」で良い場合があります。それだけでは不十分な場合、「分析結果」が必要になるケースがあります。
RoHS(II)指令 第16条2項(適合性の推定)
RoHS(II)指令 第16条2項(適合性の推定)に、次のとおり定めています。
試験または計測されるか、もしくは整合規格に則り、評価された材料、構成部品および電気・電子機器については、本指令の要求に適合するものとみなすこととする。
分析試験がなされて最大許容濃度以下であるか、整合規格に則り適合性評価がされていれば、制限物質の非含有要求に適合していると見なすとしています。
製品を構成するすべての部品や材料に分析試験を行うことは必須ではありませんが、整合規格に則り評価する必要があります。
EN IEC 63000:2018
RoHS(II)指令の技術文書作成に関する整合規格EN IEC 63000:2018(有害物質の使用制限に関する電気・電子製品の評価のための技術文書)の前文で以下のように述べています。
均質材料のレベルで適用される制限については、複雑な製品の製造者にとっては、最終組立製品に含まれる全ての材料に独自の試験を実施することは非現実的である。
つまり、製品を構成するすべての部品(めっきや塗料も含む)にRoHS制限物質が含有されていないことを分析で証明することは不可能であるとしています。
材料、部品および半組立品の制限物質に関する適合評価
確証データ(エビデンス)
整合規格には技術文書を作成するための製造者が実施するプロセス(手順)が決められ、材料、部品および半組立品の制限物質に関する適合評価には、次のような確証データ(エビデンス)を求めています。
- サプライヤーによる自己宣言または契約上の合意、およびまたは(and/or)
- 材料宣言、およびまたは(and/or)
- 分析試験結果
これらの確証データは、1から3のすべてのデータが必要ということではなく、「およびまたは(and/or)」であることに注意しなければなりません。
必要な確証データの決定
必要な確証データの決定は、製造者が自らの責任で決める必要があるので、どの確証データが必要であるかの決定にあたっては次の二つの点についてリスクを考慮します。
- 材料、部品の中に制限物質が含有する可能性
- 材料、部品のサプライヤーの信頼性
材料、部品に含有の可能性が少なく、サプライヤーの化学物質管理の信頼性が高ければ、「サプライヤーによる自己宣言または契約上の合意」または「材料宣言」で良いと考えられます。
鉄製の板金部品の場合
PBBやPBDEなどが含有している可能性はありませんので、「材料宣言」だけで良いことになります。含有の可能性が高く、サプライヤーの信頼が低い場合は、「分析試験結果」が求められます。
分析試験に関する規格
参考として、分析試験に関しての規格は、IEC 62321(電気・電子機器中の特定物質の測定定量)シリーズで、試料の調整方法や蛍光X線分光法によるスクリーニング、GC-MSによる特定物質の精密分析方法などが定められています。
IEC 62321 (all parts)について
EN IEC 63000:2018では、電気・電子機器中の特定物質の測定に関する引用規格として、IEC 62321 (all parts)と記載され、発行年は特定されていません。
物質数が増え、測定方法も多くなり、Partに分けられたためです。現在では Part 1 (第1部)からPart 10 (第10部)まであります。