Q32:川下企業からRoHS(II)指令の濃度限界値よりも厳しい濃度測定データやRoHS(II)指令の対象ではない製品含有化学物質の情報提供を要求されました。どのように対応すれば良いでしょうか?
最終更新日:2025年3月3日
製品含有化学物質に関する各国法規制への対応のため
顧客(川下企業)は、EU以外の国への輸出や顧客の製品固有の法的要求事項への対応に迫られている場合があります。
このため、顧客は今後追加される可能性のある対象物質を先取りして管理しようとするケースがあります。
各国法規制
米国における鉛の規制
鉛の濃度限界値に関して、米国消費者製品安全改善法(CPSIA)では、いくつかの限定的な例外を除いて、すべての12歳以下の子供向け製品における接触可能な部品に対して濃度限界値100 ppmを要求しています。
塗料および類似の表面コーティング中の鉛
すべての12歳以下の子供向け製品および一部の家具に対して濃度限界値90 ppmを要求しています。家庭用塗料もこの要件を満たす必要があります。
EU包装廃棄物指令(94/62/EC)
重金属(鉛、水銀、カドミウム、六価クロム)総量で100 ppmを超える含有が禁止されています。
RoHS(II)指令の対象物質
附属書II(第4条1項に定める規制物質および均質材料中の重量比での最大許容濃度)に規定されていますが、逐次見直しが行われています。
RoHS(II)指令第6条では、REACH規則およびその付属書XIV(認可物質)、XVII(制限物質)との一貫性を維持することが謳われていますので、規制物質が増える方向で見直しが行われます。
IEC 62474
電気・電子分野では各国の化学物質規制を国際規格IEC 62474(電気・電子業界及びその製品に関するマテリアルデクラレーション)としてIEC62474データベース(外部リンク)があり、対象物質と濃度限界値、およびその根拠法規を調べることができますので有用な情報です。
顧客への対応方法
顧客からの要求事項に根拠があり、かつ必要最小限の情報であれば、顧客との取引を継続するために、要求された情報を提供しなければならない可能性はあります。
一方で、早急に対応ができない場合には、事情を説明した上で顧客の支援を依頼することも一手です。
顧客からの要求が法規制対応ではなく顧客独自管理を目的としたものであり、その情報が貴社の企業秘密にあたる場合には、その旨を説明して理解を得る必要があります。
いずれの場合も、顧客の状況や目的を伺いできる限りの協力をする旨を伝え、自社の状況を説明して理解を得ることが重要です。