Q31:当社では、さまざまな場所や用途にPVC(ポリ塩化ビニル)製品を使用しています。フタル酸エステル類は移行性が高いとして、作業場のPVC製マット類を撤去することを顧客から要求されましたが、どこまで対応すれば良いでしょうか?
最終更新日:2025年3月3日
移行の可能性
貴社製品がどのような材料で構成されているかによって、移行の可能性を説明します。
出荷製品について、特定フタル酸エステル類により表面汚染や樹脂の含有の有無を検証し、対応することが必要です。
製品が金属材料のみで構成されている場合
PVC(ポリ塩化ビニル)中の特定フタル酸エステル等の揮発による、または、特定フタル酸エステル類を含有するPVCとの接触による表面汚染の可能性が考えられます。
樹脂材料部分
下記の可能性が考えられます。
- フタル酸エステルの揮発による表面の汚染
- 表面汚染の樹脂成分中への移行
- 特定フタル酸エステル類を含有するPVC類との接触による表面汚染
- 樹脂成分中への移行
特定フタル酸エステル類は高沸点化合物
特定フタル酸エステル類は高沸点化合物です。
一般的な常温付近辺の製造環境においては、揮発による汚染の可能性は低いと考えることができますが、温度が上がると揮発しやすくなりますので、注意は必要です。
特定フタル酸エステル類との相溶性
樹脂部分については、まず、樹脂の種類で特定フタル酸エステル類との相溶性(分離しない分子レベルでの混ざりやすさ)が良いかどうか等に違いがあります。
製品に使われている樹脂の特性に注意が必要です。
特定フタル酸エステル類の揮発
揮発による汚染については、樹種部分の表面あるいは樹脂中に特定フタル酸エステル類の有無の確認が必要です。
含有がなければ、撤去の必要はないと言えます。
金属材料部分
出荷製品に表面汚染がなければ、撤去の必要はないと言えます。
製品の樹種部分がPVC製の治具や工具等と接触の可能性がある場合
製品の樹種部分が製造工程で使われるPVC製の治具や工具等と接触の可能性がある場合は、特定フタル酸エステル類の移行量は、樹脂の種類、特定フタル酸エステル類の含有率、接触圧力や温度等により変化すると考えられます。
出荷製品の樹脂部分の表面あるいは樹脂中に特定フタル酸エステル類の有無の確認が必要です。
・ 参考: TIRI NEWS 2019年8月「改正 RoHS 指令対応 フタル酸エステル類の移行性の検証」