Q23:機能追加などの仕様変更が頻繁に発生する場合、RoHS(II)指令対応として、変更管理をどこまで厳密に行う必要がありますか?

最終更新日:2025年3月3日

機能追加等によって頻繁に仕様変更が発生する場合

ブルーガイド2022(外部リンク)の4.3項「技術資料」によりますと、

「製品が再設計され、適合性の再評価が行われた場合、技術文書は製品のすべてのバージョンを反映し、変更点や製品のすべてのバージョンを識別する方法および適合性評価に関する情報を記述していなければならない。これは、市場監視当局が提示された技術文書のバージョンでも、旧バージョンの製品をチェックできるようにするためである」

としています。

したがって、機能追加等によって頻繁に仕様変更が発生する場合、RoHS(II)指令対応に必要となる変更管理としては、機能追加による仕様変更で材料の変更や製造方法等の変更について、部品表で変更点を記載することが良いでしょう。
その際、旧バージョンの履歴を残しておく必要があります。

具体的な対応は、以下のとおりです。
 

自社製品の含有化学物質に影響する可能性のある要素の洗い出し

自社製品の含有化学物質に影響する可能性のある変更を抽出し、変更管理の対象とすべきかどうか、製品含有化学物質への影響の観点から検討します。

  • 組織内の人(Man)、機械(Machine)、材料(Material)、方法(Method)の4M
  • サプライヤーにおける4Mの変更、サプライヤーの変更・追加など
     

変更を行う場合の手順を定め、手順に従って変更を管理

変更を行う場合の留意事項

4M等の変更を、QC工程表に反映する場合の留意点は以下のとおりです。

  1. QC工程表が変更になった場合は、必要に応じて作業者への教育を行う。
  2. QC工程表は保管時に整理しておき、すぐに取り出せるようにしておくこと。
  3. QC工程表の変更管理は遅滞なく行い、必要とする版が利用できるようにすること。
  4. 現場監督者は定期的にQC工程表が活用されているかチェックすること。
  5. QC工程表の内容に不備があった場合は速やかに訂正すること。
     

変更管理の事例

  1. 自社製品の含有化学物質に大きな影響を生じる可能性があれば、その変更の要素を抽出して変更時の手順を定め必ずその手順に従って変更管理を行う。
  2. 必要に応じてサプライヤーとも協議し、上記と同様の手順を定めてサプライヤー(2次、3次以降も含む)へ周知する。これらの手順に基づきサプライヤーにおける変更情報を事前に入手する。
  3. 自社製品の含有化学物質情報に変化が生じるような変更を行う場合は、事前に顧客に連絡する。必要に応じて製品のロット情報や識別情報も提出する。
  4. 自社製品の含有化学物質情報を作成する際の根拠として、また、トレーサビリティ情報として活用するため、変更管理の結果は記録する
  5. 不特定多数の顧客に納入される製品の含有化学物質が変更になる場合は、ロット番号管理を徹底するなどの方法により識別できるようにする。

なお、材料の変更がない場合は、その旨を明確にすることで、新たな分析等は必要ないと考えます。

その他の場合

上記は、製品の機能追加レベルの仕様変更という前提でしたが、下記の場合、その製品は新製品とみなされなければならないとされています。

  • 製品の当初の性能、目的または型式が、最初のリスクアセスメントで予見されることなく変更された場合
  • 危険の性質が変化したか、またはリスクのレベルが関連するEU法令に関連して増加した場合

これらの場合、別製品として技術文書の作成、EU適合宣言の作成、製品への「CE」シンボル表示の貼付などが必要となります。

なお、すでに上市された製品に対して、RoHS(II)指令の要求事項に影響をおよぼすような改造を伴わないソフトウェアの更新または交換は、保守作業に類似するとされています。

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