Q14:型番が異なるシリーズ製品の場合、型番ごとに技術文書が必要ですか?
最終更新日:2025年2月27日
適合宣言書や技術文書をまとめて作成可能なシリーズ製品
下記のようなシリーズ製品の場合は、EU適合宣言書や技術文書をまとめて作成することが可能です。
- 外観は同一だが、内部ソフトウェアの相違から機能の違いがある。
- 外付けアダプタを交換することにより機能を変えることができる。
- 最上位機種から最下位機種のシリーズで、最上位機種をベースにして部分的に機能を削ることで安価な製品シリーズを構成している。(例えば、筐体や外観はほぼ同一だが、操作パネルのスイッチを省いて機能を削除しているような製品など)
CEマークの貼付やEU適合宣言書および技術文書の作成
768/2008/EC
「CE」シンボル表示やEU適合宣言書および技術文書の作成は、768/2008/EC(製品マーケティングの共通枠組みに関する欧州議会および理事会決定)で規定されています。
768/2008/ECの第5条では、EU適合宣言書にはその製品に該当するすべてのEU法令を記載する旨が記載されています。例えば、電気・電子機器であればEMC指令、低電圧指令、RoHS指令の記載が必要となります。
さらに、768/2008/ECの付属書III では、EU適合宣言書には製品の識別番号(シリアル番号、ロット番号、型式等)を記載することにより、追跡可能であることを要求しています。
構成製品を組み合わせたシリーズ製品
構成製品を組み合わせたシリーズ製品は注意が必要
ブルーガイド2022(外部リンク)の2.1項 Product coverageに
「単一の完成品ではないが、一緒に機能することを意図した2つ以上の完成品が同じパッケージで提供される場合、その組み合わせを販売する製造者は、パッケージに含まれる製品を互いに操作して使用した場合のリスクに対処しなければならない」
と、記載されています。
つまり、そのシリーズ製品の使用上考えられる組み合わせは、シリーズ全種類においてその製品に該当するすべてのEU法令に適合していることの確証が必要となります。その結果、EU適合宣言書や技術文書をまとめて記載することが可能となります。
製品本体と外付けアダプタを組み合わせてパッケージで提供する場合
例えば、製品本体と外付けアダプタを組み合わせてパッケージで提供する場合、RoHS指令では組み合わせによる影響はありませんが、EMC指令では組み合わせによって試験基準に適合しない可能性が想定されます。製品に該当するすべてのEU法令に適合できる組み合わせになるよう、外付けアダプタを選択する必要があります。
場合によっては、個別にEU適合宣言書や技術文書を作成したほうが無難なケースも考えられます。
第三者から見て、シリーズ製品の違いにより適用するEU法令も異なると判断されるかどうかが重要なポイントです。
同一の適合宣言書に記載している製品すべてがリコール対象になるリスク
シリーズ製品のいずれかがリコールになった場合は、同一の適合宣言書に記載している製品すべてが対象になるリスクを考慮しておく必要があります。
また、トレーサビリティの観点からは、製品の対象を広範囲にすると管理が困難になることも考慮する必要があります。