Q11:RoHS(II)指令対象製品の出荷時に使用する梱包材もRoHS(II)指令の対象でしょうか?
最終更新日:2025年2月27日
梱包材が対象となる法令
RoHS(II)指令対象製品の出荷時に使用している梱包材はRoHS(II)指令の対象ではありませんが、包装廃棄物指令などに順守する必要があります。
梱包材
RoHS(II)指令対象製品の出荷時に使用している梱包材はRoHS(II)指令の対象とはなりません。
RoHS(II) FAQ(外部リンク) 6.8項によると、梱包材は94/62/EC(包装廃棄物指令)に準拠し、RoHS(II)指令の対象外であると記載され、「包装及び包装廃棄物に関する欧州議会および理事会指令(European Parliament and Council Directive 94/62/EC, 1994 on packaging and packaging waste)」(以下、包装廃棄物指令)を順守する必要があります。
包装廃棄物指令 94/62/EC
目的:第1条 1項および2項
包装廃棄物指令では、第1条1項に規定のとおり、すべての加盟国および第三国の環境への影響の防止またはその影響の低減により高いレベルの環境保護に加えて、域内市場の機能の確保および貿易への障害および域内競争のゆがみと制限の回避を目的として、包装および包装廃棄物の管理に関する各国の措置の調和が目指されています。
第1条2項では、包装廃棄物指令が、最優先事項として包装廃棄物の生成の防止だけでなく、循環型経済への移行に寄与するために、包装の再使用、リサイクルおよび他の形態の包装廃棄物の回収、つまり、廃棄物の最終処分を減らすことを目的とした措置を定めるものであると規定されています。
定義:第3条
第3条によると、「包装」とは原材料や加工品といった商品の封じ込め、保護、取扱い、配送、提示のために使用されるあらゆる性質の材料で作られたすべての製品を意味し、より具体的には、商品の個別包装、配送や陳列のための集合包装、輸送のための物流梱包を対象として、以下の三つの基準で容器包装を定義しています。
- 基準1
容器包装が持つ容器包装以外の機能を侵害することなく、上記容器包装の定義を満たすものを容器包装とする。製品に不可欠な一部ではなく、製品の使用の全期間において製品を包み、製品とともに廃棄されるものでないこと
例)ティーバッグやソーセージの皮は容器包装ではありません。
- 基準2
販売時点で製品を包むものであり、販売時に共に販売・包装される使い捨て品は包装機能のある容器包装とみなす
例)ワンウェイのトレイやカップ、ラップフィルムは容器包装です。
- 基準3
容器包装の構成要素、および容器包装と一体化する付属物は容器包装の一部とみなす
例)容器包装を束ねるための粘着テープ、プラスチックのCDジャケットは容器包装です。
包装に関する要件:9条
上市される包装材は、附属書II の包装材に関する要件(包装材の製造および組成に関する要件、包装材の再利用性に関する要件、包装材の回収性に関する要件)を順守しなければならないと規定されています。
規制値:11条
上記のように使用される包装材(梱包材)を対象とし、重金属であるカドミウム、水銀、六価クロム、鉛の含有量の合計が、包装材または包装材の構成物の中に重量比で100 ppm以下でなければならないと規定されています。
包装廃棄物指令の以外の法規制(REACH規則)
包装廃棄物指令のほかに、REACH規則への対応も必要となります。
REACH規則 第7条2項および第33条では、成形品に含まれる認可対象候補物質(Candidate List Substance:CLS)の届出や情報伝達を成形品の生産者や輸入者に義務付けています。
日本からEUに製品を輸出する際に梱包に使用される段ボールやスチールケース、ラッピングシートなどもEU域内に輸入される成形品としてみなされます。
企業の対応
上記の法規制が要求すること以外でも、顧客が自社の調達基準をもとに適合を要求してくる場合もあります。この場合、顧客の含有物質に関する方針を貴社としても十分理解しサポートを行うことでビジネスの維持拡大につなげることもできるため、まずは調達基準について顧客との相互理解を進めることが大切です。