設備紹介 多摩テクノプラザ, 複合素材技術グループ

恒温槽付き万能試験機

公開日:2025年1月15日 最終更新日:2025年1月15日

恒温槽付き万能試験機
  • 繊維強化複合材料などの評価に適した、高温、低温環境下における強度試験を実施可能
  • 引張、圧縮、および曲げ荷重の負荷が可能
  • 試験中における荷重とストロークの関係を取得可能

試験機の特徴

近年、構造物の軽量化による省エネルギー化を目指して、高機能プラスチックや繊維強化複合材料の利用がすすめられています。これらの材料を用いた構造物の安全性、信頼性を確認するには、強度試験により、引張強さや弾性率などの強度特性を評価することが重要となります。
高機能プラスチックや繊維強化複合材料の強度は、環境温度の影響を大きく受けます。常温下の場合と比較すると、一般に高温下では強度は低下し、一方で低温下では向上します。したがって、これらの材料を、例えば自動車などのモビリティの構造部材として利用するには、実際の使用温度と同じ条件下におけるデータの蓄積が必要となります。
今回導入した試験機では、付属する恒温槽によって-35℃から250℃までの温度下で強度特性を評価することができます。 
 

図1 恒温槽内での引張試験

試験様式

本試験機では、引張、圧縮荷重に加え、試験治具を使用することで曲げ荷重(モーメント)を負荷することも可能です。曲げ試験治具には、3点曲げ試験治具、4点曲げ試験治具をご用意しております。表1に試験機の仕様を示します。

出力されるデータは、試験荷重、ストロークおよび温度で、csv形式で保存されます。保存されたデータは、CD-R(有償)にてお持ち帰りいただけます。

表1 恒温槽付き万能試験機の仕様

活用事例

炭素繊維強化プラスチック(CFRP)材料に対する引張試験によって得られた、各温度ごとの試験力とストロークの関係を図2に示します。試験温度は外気温を想定した0℃から30℃までとし、10℃刻みの4条件で試験を実施しました。
試験結果から、温度の増減により試験中の最大荷重が変化し、強度も増減していることがわかります。この事例では、10℃ごとに約10%程度強度が変化することがわかりました。

図2 各温度における試験力とストロークの関係

製品開発を支える恒温槽付き試験機

都産技研では、本稿で紹介した試験機以外にも、恒温槽付き疲労試験機を保有しております。こちらは静荷重ではなく、繰返し荷重に対する耐久性を評価できる試験機となっており、材料の長期的な安全性・信頼性を確認できます。
製品開発の際には、これら恒温槽付き試験機を是非ご活用ください。 

図3 恒温槽付き疲労試験機

関連情報

仕様および利用料金については設備ページをご覧ください。

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