設備紹介 墨田支所

光学式モーションキャプチャシステム

公開日:2022年9月1日 最終更新日:2024年11月11日

光学式モーションキャプチャシステム

光学式モーションキャプチャシステムは反射マーカ(直径10 mm程度の球体)の3次元位置((X, Y, Z)座標)の時系列データを収録する設備です。複数の反射マーカを身体に取り付けて測定を行うことにより、身体動作の定量的な比較に関するデータを取得できます。フォースプレートの併用により、床反力(床から身体に加わる力)を同時に測定できます。

設備の特徴

光学式モーションキャプチャシステム(製造者: Motion Analysis Corporation(米国))は複数の測定用カメラ(図1)と画像処理を行うコンピュータで構成されるシステムです(図2, 3, 4)。これらのカメラは通常のカメラと異なり、赤外領域の光を検出するため、赤外光の照明を備えています。

赤外光を反射するマーカ(図5)を測定対象の身体各部に固定して撮影を行うと、カメラ映像中ではマーカのみが際立って明るく、それ以外の部分が暗く映ります。画像処理により所定の基準値よりも明るい部分のみを抽出することで映像中のマーカの2次元画像座標が検出されます。少なくとも2台のカメラの映像に同一のマーカが映っていれば、三角測量の原理に基づく方法により、2次元座標のペアからマーカの3次元位置座標が計算可能となります。

左: 旧機種(Eagle)、右: 新機種(Kestrel 1300)
図1 測定用カメラ(2種類を併用)
左: 旧機種(Eagle)、右: 新機種(Kestrel 1300)
図2 光学式モーションキャプチャシステムの構成図
図2 光学式モーションキャプチャシステムの構成
光学式モーションキャプチャシステムの設置場所
図3 光学式モーションキャプチャシステムの
設置場所(破線の円の内側にカメラがある)
カメラ10台の配置と視野の図
図4 カメラ10台の配置と視野
(中央の灰色の領域は2×3枚のフォースプレート)
反射マーカ
図5 反射マーカ(赤外光を反射する素材で被覆されている)

フォースプレートの併用

光学式モーションキャプチャシステムは、フォースプレート(図6)を併用して、床反力(3軸力と3軸トルク)を同時に測定できます。

フォースプレート(製造者: Advanced Mechanical Technology Inc.(AMTI; 米国))は力の3軸成分とトルクの3軸成分に対応する8チャネルの電圧信号を出力するしくみとなっているため、モーションキャプチャシステムのコンピュータには、アナログ電圧信号の収録装置が接続されています。この収録装置はカメラの同期信号を受信し、カメラ映像と同期して複数のアナログ電圧信号を収録することができます。

フォースプレート
図6 フォースプレート(2×3枚。1枚の寸法は50 cm × 50 cm)

測定事例

45個の反射マーカを身体各部に取り付けて測定を行うと、図7、8のようなデータが取得できます。図7、8 のように、光学式モーションキャプチャシステムの測定用ソフトウェアは、マーカの3次元位置((X, Y, Z)座標)の時系列データを3次元コンピュータグラフィクス(3DCG)や時系列のグラフ(縦軸が位置座標、横軸が時刻)として表示する機能を備えています。

測定データの例1
図7 測定データの例1
測定データの例2(異なる姿勢)
図8 測定データの例2(異なる姿勢)
測定データの例1
図7 測定データの例1

(上段: 測定用ソフトウェアによる3次元表示、下段: 選択しているマーカの位置(X, Y, Z)座標の時系列データのグラフ)

測定データの例2(異なる姿勢)
図8 測定データの例2(異なる姿勢)

フォースプレートから突き出ている矢印は床反力ベクトル。

仕様および利用料金

仕様および利用料金については設備ページをご覧ください。

光学式モーションキャプチャシステムとフォースプレートは「機器利用」事業でのみ運用している設備です。
「依頼試験」として測定、測定データの後処理、解析、評価、製品の効能・性能比較を都産技研職員が実施することはできません。

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