小型モーター試験装置

公開日：2022年5月1日最終更新日：2025年3月19日

モーターの電気的入力および機械的出力が測定でき、モーターの性能測定が可能
トルク測定器は5種類あり、モーターの最大トルクや無負荷回転速度から適切な測定器を選択
電源は単相交流、三相交流、直流に対応可能

装置の特徴

近年の省電力化傾向に伴い、種々の小型モーターにおいて高効率化が要求されています。

図1に小型モーター試験装置のシステム構成を示します。本装置は、トルク測定器のヒステリシスブレーキによってモーターに実負荷を与え、モーターの機械的出力であるトルク [N・m]および回転速度 [r/min]を測定します。さらに電気的入力である電圧 [V]、電流 [A]、電力 [W]を電力計で測定し、モーターの効率 [%]を自動的に計算します。

トルク測定器の種類

トルク測定器は表1の5種類から選択できます。

測定器ごとに、測定できるトルク容量や回転速度範囲、連続入力の上限が異なります。特にトルクの測定についてはフルスケールに対しての誤差が大きくなること、大きなトルク測定器はイナーシャが大きくなり、モーターのトルク容量が小さいと測定器の回転軸を回せないことがあります。

ご利用時には、事前にカタログなどで試験するモーターの仕様を確認していただき、使用するトルク測定器を選択してください。例えば最大トルク1 N・mのモーターの場合、型番はTB-2Nが適切となります。

表1 トルク測定機の仕様

型番	トルク容量	トルク精度（トルク容量の最大トルクに対して）	回転速度範囲（r/min）	連続入力（W）	軸径（mm）
TA-200S	0.6～20mN・m	±0.5%以内	600～25000	6	Φ1.2～2.0、丸
TB-100MN	3～100mN・m	±0.25%	100～40000	25	Φ6、Dカット
TB-5KS	15～500mN・m	±0.5%以内	100～12000	60	Φ8、Dカット
TB-2N	0.06～2N・m	±0.25%	100～25000	120	Φ12、キー有キー：4x2.5x20mm
TB-1000 KSC-U1	3～100N・m	±0.5%以内	10～3200	2200	Φ35、キー有キー：8x4x25mm

活用事例1：機器利用でのモーターの性能測定

小型モーター試験装置を機器利用することで、モーターの性能測定ができます。本装置はライセンス制度の対象機器であるため、初回ご利用時はライセンス講習を受けていただきます。ライセンスカード発行後は自由にご使用できます。

図2は、定格電圧DC24 V、出力117 W、定格トルク932 mN・m、回転速度1200 r/minの汎用ブラシ付DCモーターの定格電圧印加時の測定結果を表しています。横軸はトルクT [N・m]であり、縦軸は左から順に効率η [%]、電流I [A]、電圧E [V]、電力P [kW]、回転速度S [r/min]となっています。図2のグラフは、桃色線が効率、青色線が電流、緑色線が電圧、赤色点線が入力電力、赤色実線が出力電力、黒色線が回転速度を表しており、グラフからモーター性能が読み取れます。

図2は試験装置の制御PCのPrint Screen機能を用いて保存した画像ですが、他の機能として、測定データを制御PCにcsv形式で保存することもできます。PC保存の測定データは、CD-R（有償）に書き込むことで持ち帰りできます。