床衝撃音の測定と評価 ‐ 下階に伝わる音への対策 ‐
公開日:2023年9月15日 最終更新日:2025年3月17日

- 集合住宅などでは、上階の物音や足音が床を通して下階に伝わる音が大きな問題になることがあります。身近な対策としては、床に敷くカーペットやプレイマットがあります。
- このような製品の遮音効果を知るために、都産技研ではJISに準拠した床衝撃音の測定と、測定で得た遮音効果の等級による評価に取り組んでいます。
下階に伝わる床衝撃音の測定
居室内での物の移動や落下、人の歩く音や子供の飛び跳ねによって床が直接振動して下階に伝わる音のことを「床衝撃音」と呼びます。カーペットやプレイマットが床衝撃音を低減させ下階に伝わる音を小さくする効果を知るために、都産技研ではJISに準拠した「床衝撃音レベル低減量の測定」(*1-2)を行っています。(図1)
測定には、生活で生じる床衝撃音を模擬した「標準軽量衝撃源(ハイヒールの歩行、食器の落下など軽く硬い衝撃音)」、「標準重量衝撃源(子供の飛び跳ねなど重く柔らかい衝撃音)」の2通りの音源を用います。(図2、動画1、2)
床衝撃音レベル低減量の測定対象試料はカテゴリー1~カテゴリー3に分類され、都産技研ではカテゴリー1(部分敷のマット、カーペットなど小寸法試料)を対象としています。
*1 「実験室におけるコンクリート床上の床仕上げ構造の床衝撃音レベル低減量の測定方法 第1部:標準軽量衝撃源による方法」JIS A 1440-1 : 2007
*2 「実験室におけるコンクリート床上の床仕上げ構造の床衝撃音レベル低減量の測定方法第2部:標準重量衝撃源による方法」JIS A 1440-2 : 2007


動画1 標準軽量衝撃源
動画2 標準重量衝撃源
床衝撃音レベル低減量の等級
測定した床衝撃音レベル低減量の評価法に「Δ(デルタ)L等級」と呼ばれる等級(*3)があります。 軽量床衝撃音低減性能はΔLL等級(ΔLL-5からΔLL-1の5等級)、重量床衝撃音低減性能はΔLH等級(ΔLH-4からΔLH-1の4等級)となっており、等級の数字が大きいほど床衝撃音の低減効果が高いことを示します。
*3 「床材の床衝撃音低減性能の等級表記指針」一般財団法人 日本建築総合試験所
まとめ
下階に伝わる音への対策として使われるカーペットやプレイマットの遮音効果を知るためには、物音や足音を模擬した衝撃源を用いる「床衝撃音の測定と評価」が効果的です。都産技研ではJISに準拠した床衝撃音の測定と、測定で得た遮音効果の等級による評価に取り組んでいます。
カーペットやプレイマットなど各種インテリア製品を製造・販売するお客様、下の階への遮音効果を製品の開発・販売に活用したいお客様のご利用をお待ちしています。JIS準拠以外にもお客様の製品を衝撃源とした測定も行っていますので、お気軽にお問い合せ下さい。
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