衣服圧とは、人間が衣類を着用したときに人体の皮膚表面に対して垂直に働く圧力のことです。近年は着圧ソックスやガードル、コンプレッションウェアなど、締め付けのある製品が増えていますが、このような製品を着用した時にかかる圧力(衣服圧)を数値化できる装置が衣服圧測定装置です。
都産技研では、エアパックセンサ型衣服圧測定装置を採用しています。エアパックセンサは、パック内に一定量の空気を詰め込み、パックを圧迫した時の空気移動量をセンサで検知することで、圧力を算出しています。パックは柔軟性があるため、曲面形状に対して感度よく検知できることが大きな特徴です。そのため、人間の体のような曲面形状を対象とした測定に適しています。
図1.衣服圧測定装置と20代女性平均寸法ダミー(脚型)
衣服圧の測定には、衣服圧測定装置に加えて平均寸法ダミーを併用します。あらかじめ要望の多い測定箇所にセンサが内蔵された平均寸法ダミー(脚型)か、測定したい箇所にエアパックセンサを外付けできる平均寸法ダミー(全身型)を使い、製品をダミーに装着して測定します。人間の形状に近似したダミーを使うことで、人間が着用した際と同様の衣服圧を把握できます。
衣服圧は、装着した製品がセンサを押す力を計測する方法であるため、着圧ソックスやスパッツのように、ダミーにフィットする製品が測定対象となります。一方、締め付けがなくたるみがあるズボンのような製品は測定対象外となります。
図2.平均寸法ダミー(全身型)
(左から70代女性、40代女性、20代女性、20代男性)
着圧ソックスの測定事例をご紹介します。20代女性平均寸法ダミー(脚型)を使って、センサが内蔵された2か所と外付けで1か所、計3か所を計測します。
①:下腿最小囲後面
②:①と③の中間点
③:下腿最大囲後面
測定結果は、各測定箇所にかかる圧力が「hPa」表記で算出されます。図3に示す結果の通り、測定部位による圧力の違いを簡単に確認することができるため、段階式着圧設計を施した製品の性能評価や品質管理などにご活用いただけます。
その他、締め付け感のある製品の評価方法などもご提案しておりますので、お気軽にご相談ください。
図3.測定方法とデータ
(左から着装前測定箇所、着装後測定箇所、着圧測定結果)
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