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輸送中および使用中、さまざまなタイミングで製品は衝撃加速度(瞬間的に加わる大きな加速度)にさらされます。
例えば荷物の積み下ろし時、輸送車が段差を越えた時、付近の扉が勢いよく閉まった時、ブレーカーがバチンと落ちた時など、製品そのものが落下または何かに衝突したわけではなくても、衝撃は伝わってきて製品に影響を及ぼします。
その結果、自重に応じて各部に力がかかり、はんだのはがれ、コネクタの瞬断、変形による外装破損などの故障や不具合が発生します。本装置は、このように衝撃を受けることが想定される製品に対して模擬的に衝撃を与え、製品が耐えられるかを確認するための試験機です。
規格に基づいて規定のピーク加速度と作用時間の衝撃を与える試験は、製品の品質管理や機械的弱点を確認するために行います。また徐々に加速度を上げて壊れるまで行う試験もあり、こちらは製品の限界値を明確にすることが目的です。
このように、製品の設計段階や出荷前に試験を行うことで製品の信頼性を高め、品質管理を行うことができます。
本試験機は、治具に固定した試験品ごと台座を持ち上げてエラストマ(ゴムのような弾性のある樹脂)上に落とすことで試験品に衝撃を加えます(図1)。再現性が高く、安定した評価が可能です。
エラストマによって衝撃の波形が決まってきます。衝撃試験に使われる波形は正弦半波・台形波・のこぎり波の3種類です。そのうち最も一般的な、正弦半波(ハーフサイン) (図2)に対応したエラストマを取り揃えています。衝撃波形は治具上に取り付けた加速度センサで測定します。台座を落とす際は空気圧で加速し叩きつけるため、インフラなどに求められるような高加速度の衝撃を発生させることができます。
図1 落下衝撃試験機 模式図
図2 衝撃波形イメージ(正弦半波)
装置の動作上、衝撃加速度は下から上への一方向に印加されます。試験の際は図3のような治具を用いて試験品の方向を変え、x、y、z軸の各±、計6方向の衝撃を与えるのが一般的です。試験実施の際は、治具に製品を固定するための治具板が必要です。試験品が梱包品の場合、治具板は使用せず直接台座にゴムバンド等で固定します。
図3 治具(加速度や試験品形状によって使い分けます)
衝撃の強さ(ピーク加速度)は落とす高さと加速させる空気圧によって変えることができますが、作用時間の調整はできません。例えば100G 6msec用のエラストマで50Gを出そうとすると、自動的に作用時間は7msecほどになります。対応可能な加速度と作用時間の組み合わせ例を表1に、代表的なエラストマと試験結果を図4~6に示します。
加速度(G) | 15 | 30 | 30 | 50 | 100 | 100 | 200 | 500 |
作用時間(ms) | 13※ | 11 | 18 | 11 | 6 | 11 | 6 | 1※ |
※エラストマの規定値外
図4 50G 11msec
図5 100G 6msec
図6 500G 1msec
本試験機は、電子部品からインフラ関係までさまざまな製品開発にご活用いただいています。製品そのものの設計に加え、包装設計を見直すことでコストダウンに成功した事例もあります。以下にご利用の事例をご紹介します。
実証試験技術グループでは、製品の安全性・信頼性を検証するための環境試験設備を取り揃えております。その中でも本試験機と併せて利用されることの多い設備を図7~9に示します。
高品質・高性能な製品開発のために、ぜひお役立てください。皆さまのご利用をお待ちしています。
図7 振動試験機
振動による影響を調べるための装置
図8 恒温振動試験機
振動と温湿度による複合的な影響を調べる装置
図9 瞬断検出器
規定以上の瞬断が起こらないかを確認する装置
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