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【技術研究会紹介】締結問題研究会 -奥が深いねじの世界の、奥深い情報共有-

印刷用ページを表示する 更新日:2022年6月15日更新

トップイメージ

(左から)会計幹事 小寺 薫雄 氏(近江精機株式会社)、副会長 佐藤 知志 氏(ボルト・サトウナベ株式会社)、
会長 渡辺 昇 氏(矢辺鋼業株式会社)、事業幹事 櫻庭 健一郎(東京都立産業技術研究センター)


締結問題研究会は、設立から35年の永きにわたって、ねじをはじめとする「締結」に関連する会員によって活動を続けてきました。その活動内容や意義、成果など、長い活動を支えてきた要因を、研究会を構成する会員企業と都産技研研究員に聞きました。​

(外部リンク)

締結問題研究会の概要

締結問題研究会は、1987 年、締結部品の製造・販売や関連工具の製造・販売に携わる企業間の交流と活性化を目的に設立しました。

都内中小企業の技術者と都産技研職員によって構成され、参加企業間の情報交換や相互連携をはじめ、検討会や発表会などの活動を展開しています。

「ねじは小さな部品ですが、技術要素がぎゅっと凝縮されています。それまで都産技研では加工や腐食の問題、強度などさまざまな技術課題に個別で対応させていただいていましたが、一部の企業様で締結、ねじ部品、リベットなどの課題について勉強していこうという機運が高まってきたことを受けて、当研究会が発足しました」(櫻庭)

研究会発足当時、ねじの業界では、商品開発はそれぞれの企業で行い、企業間の連携はあまりなかったと言います。

「情報共有により技術開発を深め、さらには共同開発で製品を作りたいというような意図が当初はあったかと思います。現在も、会員全員で何か形にするのはさすがに難しいですが、個々の共同開発や事業提携は進んでいます」(渡辺氏)
現在、締結問題研究会には、ねじ関連会社はもとより、表面加工などの周辺企業および関連する設備施工会社など多岐にわたる企業が参加しています。​

 

渡辺氏の写真

 

勉強会を中心に、情報共有で業界の課題に向き合う

​活動の柱となっているのは年4回、都産技研を会場に開催する勉強会です。

「研究テーマは都産技研からの提案のほか、毎回会員にアンケートを取ってその時々のさまざまな課題が取り上げられます。ときには金属に限らず、環境問題や事業承継など幅広いトピックが議題となります」(渡辺氏)

この勉強会は、都産技研の職員や外部の専門家を招いて、テーマに関する講演、セミナーという形で開かれ、活発な議論が交わされています。

そしてもう一つの重要な活動として、実地体験も行ってきました。

「大手企業の工場や産業技術総合研究所などの施設を訪問したり、都産技研の設備を使って、例えば新しい金属加工技術など、研究員の方の指導による製作体験などを行っています」(渡辺氏)

 

会議の様子の写真
見学会の様子の写真


ここ数年、ねじの関連業界では六角ボルトのJIS規格の変更によって、以前の規格の製品の混在がさまざまな問題・課題となっていました。こうした業界の課題に対しても、研究会として積極的に向き合っています。

「JISのねじ研究協会の方とタイアップして、新しい規格の周知徹底を図るためにパンフレットを作ったり、ドイツのISO規格の関係者が来日した際に意見を聞いて、研究会内で共有したりもしました」(佐藤氏)

佐藤氏の写真


「例えば各社で独自基準のボルトがあったり、多様な規格への対応は困難な課題で、なかなか解決には至りませんが、それでも研究会内では現在の状況などを詳しく情報共有できていると思います」(渡辺氏)

研究会での交流から生まれる新たなビジネス

研究会での活動は、実際の成果として企業活動に反映されています。

「直近では新素材がトピックです。勉強会で研究員の方から提案があったCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を素材に、都産技研とタイアップして製品開発を進めている企業さんもあります」(佐藤氏)

さらには、具体的な製品として市場にリリースした例もあります。

「弊社はねじを締める工具のメーカーです。会員企業さんが新しく製品化したボルトについて、指定工具がないために品質を保証することができず困っているというお話をいただきました。そこで都産技研に試作や強度的な試験などで協力していただいて、ボルトのカタログにも掲載できるだけの指定工具を製品化できました。結果、その会社さんのボルトの販売が安定し、弊社も工具を販売することができました」(小寺氏)

 

小寺氏の写真

そのほか、研究会への参加には技術開発以外でもメリットがあると言います。

「取引先企業からいただいた質問に対して回答に悩んだときに、都産技研に相談してアドバイスをもらったり、困りごとの解決窓口みたいなことも担っていただいています」(渡辺氏)

また、幅広い活動内容の根幹には、ねじだけでなく、そこに携わる「人」の交流にも大きな特徴があるとのこと。

「勉強会の後の懇親会では、互いの人となりも分かり、さまざまな事情への理解も進みやすくなります。むしろそういうことも含めた総合的な情報交換こそが大切だと感じています」(渡辺氏)

 

産業横断的なスタンスで、先の読めない時代に立ち向かう

​幅広い活動を行ってきた締結問題研究会ですが、世界全体が厳しい経営環境にある昨今において、今後も多角的な活動を展開していきます。

 

櫻庭研究員の写真

 

「小寺さんのようにすでに工具の会社さんもいらっしゃいますが、いわゆる製造ばかりではなく、例えば流通関係など、異業種交流とまではいかなくとも、業界に携わるかなり広い範囲の情報がいち早く聞けるような会にしていければと考えています」(櫻庭)

「ねじは大変、奥が深い品物です。積極的に勉強したいという姿勢で、直接の業界ではない異業種の方にもご参加いただければ、広範なテーマの研究や情報共有ができ、有意義な会になると思います。ぜひお気軽にお問い合わせください」(渡辺氏)

 


 

(外部リンク)

締結問題研究会 会長
矢辺鋼業株式会社 取締役会長 渡辺 昇

締結問題研究会 副会長
ボルト・サトウナベ株式会社 代表取締役 佐藤 知志

締結問題研究会 会計幹事
近江精機株式会社 技術部 小寺 薫雄

締結問題研究会 事業幹事
事業化支援本部 地域技術支援部 城東支所 技術支援係長 櫻庭 健一郎

 

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