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理事長挨拶

印刷用ページを表示する 更新日:2019年4月1日更新

新年度のご挨拶

「便利な都産技研」から「頼りになる都産技研」へ

理事長おくむらつぐのりの写真

 先端技術が日々急速に更新されていく中、都産技研では2019年度も総合力を活かした迅速かつ的確な支援を進めていきます。重視するのは、支援メニューを拡充し、「都産技研なら必ず課題解決の糸口が見つかる」という安心感を与えること。
言わば「便利な都産技研」から「頼りになる都産技研」へのシフトです。

IoT、AI、ロボットなど時代のニーズに応えていく

 2018年10月にIoT支援サイトを開設しました。IoTやAIは、ものづくりを効率的に進めるためのツールであり、製品に新たな付加価値を与えるための道具です。全職員がIoTやAIのリテラシーを身につけ、IoTを「知る、導入する、使いこなす」という3ステップを踏んだ上で、あらゆる技術分野、あらゆる製品の開発支援に活かしていきます。
 また、ロボット産業活性化事業では公募型共同研究開発事業において、既に複数の案件が製品化を達成。鉄道会社や商業施設と連携した実証実験も実施しています。2019年度も、企業と共同開発したサービスロボットの運用試験など、公共施設での大規模な社会実装トライアル支援を予定しています。 

国内外で地域性に応じた多彩なサポートを展開

 バンコク支所では、ラボツアー、現地における人材育成支援、他機関との連携による産業交流の推進などにより、タイに進出した企業の課題解決に向けた支援を実施していきます。
 墨田支所では、人間の筋肉や骨格の動きを複数のシミュレーターでモデリングし、製品づくりに活かす「生活動作計測スタジオ」を2019 年1 月に開設。生活関連製品の研究開発や企業支援を強化するために、「生活空間計測スタジオ」での支援と並行して、成果事例や支援事例を積み上げていきます。
 都産技研の支援内容は、地域性とも深く関係しています。城東支所の周辺地域には、伝統工芸品の職人や、アパレル、生活小物、雑貨、文具、玩具などの企業が点在しています。城南支所周辺は機械加工の企業が多く、多摩地域には電子機械、精密計測の企業をはじめ、研究開発型の企業が少なくありません。都産技研はこうした地域産業の特性に応じた支援ができる体制を強化しています。

若い力を結集させた協創的研究開発に注力

 2018年度の新規プロジェクトである「協創的研究開発」では、若い研究員を中心に、専門分野や所属部署の垣根を越えた横断的な研究開発を2件実施しました。一つは、3Dものづくりセクターを中心に、AM(3Dプリンター)技術研究開発を加速するために、AMの材料情報と部品情報のデータベース構築と有機的なデータ連携を行うというもので、もう一つは、バイオ応用技術グループを中心に、ミクロレベルで形態を制御しながら生体モデルなどの3D構築を実行する3D バイオプリンティング技術の創出を目指す研究です。目的は、製品展開を意識した中小企業のものづくり支援の強化です。2019年度も引き続き「協創的研究開発」を推進します。
 もちろん、技術シーズを創出する基盤研究や、中小企業との共同研究にも注力します。特に共同研究では、技術開発にとどまることなく、事業化までを見すえた製品開発に重点を置いています。 

パラリンピックを契機に障害者スポーツの普及を推進

2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会を控え、障害者スポーツ向けの製品開発支援も加速しています。ただし、パラリンピックはあくまでも通過点の一つ。障害者向けの製品開発は、日常生活において障害者が健常者と同じように、当たり前のようにスポーツを楽しめる環境づくりの一環です。パラリンピックに向けた一過性の研究開発や支援ではなく、パラリンピックを牽引力にしながら、より恒久的な視点を持って研
究開発に取り組み、目に見える成果を生み出していきます。

ブランド試験の拡充で支援メニューを強化

「都産技研ならでは」の事業の一つ「ブランド試験」では、多摩テクノプラザに複合材料を評価できる先端機器を導入し、2019 年1 月から従来の10 項目に「繊維・複合材料試験」が新たに加わりました。繊維分野は前身である繊維工業試験場時代から、トラブル対応や試験データが蓄積されています。多摩テクノプラザでは、炭素強化プラスチックやカーボンファイバーのほか、金属製ファイバー、アラミド繊維、ケブラーといった新しい繊維状の素材を使った研究開発も進め、自動車や人工衛星などにも使用可能なCFRP の開発などを実現させています。
都産技研の「依頼試験」に占める「ブランド試験」の割合は30%を超え、その半数以上が大手を含む東京都以外の企業。多方面から頼られる公設試へと、着実に歩みを進めていると自負しています。

都産技研内にも中小企業にも広く「6つのC」を浸透させたい

私が本誌でも繰り返し紹介している指針が「6つのC」です。「まずはCuriosity( 興味・好奇心)を持ち、次にCommunication( 情報交換・情報共有)を図ることで、Collaboration( 協力・連携)や、Consilience( 異なる学問間の知の統合)が生まれる。それがChallenge( 挑戦)の種となり、Change(革新)が達成される」というプロセスです。これらは、都産技研内で研究開発や中小企業支援を進めていく際のキーワードとして、研究員への浸透を図ってきましたが、2019年度は中小企業の皆さまにも理解を深めていただきたいと考えています。この6つのCを共有し、Win-Winの関係を構築できることを願っています。
また、「serendipity」という言葉がありますが、「偶然の産物で新たな技術を開発した」と評されるようなケースにおいて、その実態は未解決の課題をきちんと頭の中で整理して、常に頭の片隅に置いていた結果であり、必然です。課題を常に意識しているからこそ、ふとヒントが得られるもの。例えば、尺取虫の動きから凹凸の激しい悪路をスムーズに移動するロボット技術が生まれました。「故きを温めて新しきを知る」というケースもあるでしょう。伝統的な成熟した技術を先端的な領域に応用した例として、象嵌という工芸品の技術が半導体集積回路の配線に使われています。
 

外部との活発な交流がイノベーションのきっかけに

そこで推奨したいのが積極的な異業種交流。新技術を生み出すために、同分野・異分野を問わずさまざまな人とコミュニケーションを図りつつ、ものづくりのヒントになる事象をヒントとして捉えられるアンテナ感度を磨いていただきたいのです。都産技研内でも異業種交流グループが活発に活動しており、企業が「Curiosity」と「Communication」によってヒントをつかみ、「Collaboration」が始まるきっかけにもなっています。
ものづくり企業を取り巻く環境は、大きくかつ急速に変化しています。そして、グローバルにフラットな市場競争環境ができつつあり、企業規模を問わず優れた製品、魅力的な製品が成功を収められる時代になっています。その波に乗るためにも、6つのCを軸にした都産技研の支援にどうぞご期待ください。

 


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