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アイソトープ・放射線のはなし 2.アイソトープ・放射線の利用のいろいろ(5)

印刷用ページを表示する 更新日:2016年12月19日更新

 

(5)目じるしとしての利用

アイソトープから放出される放射線を目じるし(トレーサ)として利用することにより、物質の移動や濃縮の様子などを調べることができます。

診断への利用

特定の内臓に疾患があると予測される患者に、その内臓に集まりやすいアイソトープ医薬品を投与します。そして、アイソトープが内臓に集まる状況を、体外から測定することにより、くわしい症状を診断することができます。この診断法の発展により、脳や心臓・肝臓病など様々な病気が早期にわかるようになりました。

生体微量物質の検査への利用

人体から採取した血液や尿などに含まれる各種のホルモンや抗原などの微量物質の検査にヨウ素-125などのアイソトープで目じるしをつけた薬品を用います。
この方法は、極めて簡単であり、感度が鋭敏なため、ホルモンに関係する病気や糖尿病などの診断に威力を発揮します。

アイソトープで体内の様子を調べている模式図


テクネチウム99mによる肝臓の診断などアイソトープでぴたりとわかる!

摩耗の検査

自動車のエンジンやタイヤなどの摩耗の検査に利用されます。例えば、エンジンのピストンリングの表面の一部にアイソトープを加えておき、運転によって削られ、潤滑油中に入ったアイソトープの量を測って摩耗の程度を知ることができます。

資源調査などへの利用

かつては、魚の回遊や地下水の流れなどの調査に微量のアイソトープを使用していました。しかし環境中でアイソトープを用いることは厳しく制限されるため、新しい方法が用いられています。環境中では極めて稀少な元素(希土類元素など)、例えばユーロピウムという元素を魚のエサに混ぜて摂取させると、耳石やウロコに蓄積します。捕獲された魚の耳石やウロコを、原子炉で放射化しユーロピウムを検出することにより放流後の回遊状態を調べることができます。この方法をアクチバブルトレーサ法といいます。アクチバブルトレーサ法は、このほか地下水の流動調査などに利用されています。

 


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