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アイソトープ・放射線のはなし 2.アイソトープ・放射線の利用のいろいろ(3)
印刷用ページを表示する 更新日:2016年12月19日更新
(3)物の性質の改善への利用
プラスチックに放射線をあてると、分子の鎖がところどころで結合して(架橋)、機械的強度が向上したり、耐熱性が増したりします。逆に分子が切れて(分解)、機械的強度が低下する場合もあります。またプラスチックに他の分子鎖を結合させ(グラフト重合)、新しい性質を付け加えることができます。
放射線の化学反応
放射線が物質中を透過するとき、その通り道にある物質の分子や原子から電子をはじき出します。この作用を電離作用といいます。また電子にエネルギーを与えて分子や原子を高いエネルギー状態に置くことがあります。これを励起といいます。電子を失った原子や励起状態にある原子や分子は、他の原子と結合するなどの反応性に富み、いろいろな化学反応をひき起こします。電子線照射された電線は、ポリエチレン被覆の耐熱性が80℃から120℃に増加します。照射電線は、自動車、電子機器などの耐熱性材料として利用されています。
今後の放射線の利用拡大を図るためには、技術開発の高度化、先端技術の開発、良質な製品の開発等、技術開発の新しい動向に的確に対応していく必要があります。
こうした観点から当研究所では、電子線照射装置やイオン加速器を用いた研究を行っています。