ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > アーカイブス > ヨウ素およびヨウ素イオンの検出

ヨウ素およびヨウ素イオンの検出

印刷用ページを表示する 更新日:2016年12月19日更新

ヨウ素は水に溶けにくいが、ヨウ化カリウム水溶液には容易に溶解し、褐色を呈する(これにアルコールを加えたものがヨードチンキである。ヨードチンキについてはこちら)。一方、四塩化炭素には容易に溶け、溶液は紫色を呈する。したがって、ヨウ素+ヨウ化カリウム水溶液を四塩化炭素で抽出すると、四塩化炭素層は紫色を呈するようになる。これを利用してヨウ素を検出することができる(でんぷん水溶液を用いた簡便な方法はこちら)。

ヨウ素イオンは亜硝酸塩で酸化するとヨウ素を遊離する。また、銀イオンと反応し、黄色沈殿を生じる。これらを利用してヨウ素イオンを検出することができる。前者の方が操作は煩雑であるが、反応は鋭敏でわかりやすいので、基本的には前者を行う。

 試験方法(1):ヨウ素の検出

抽出液を抽出する様子の写真
1)変色部を蒸留水でしめらせて抽出する。なお、乾燥している場合は、いったん霧吹きで水を噴霧し、2から3分放置してから行うと抽出されやすい。

 

正常部と汚染部の抽出液を比較する写真。正常部無色透明。汚染部褐色
2)1)の抽出液を約2mL試験管にとる。このとき褐色を呈していれば、汚染はヨウ素とヨウ化カリウムの混合水溶液(例えばヨードチンキ)によるものと推定できる。

 

 

抽出液に試薬を加えた写真。試薬が沈み液が2層化している
3)四塩化炭素を約2mL試験管に取り、激しく振とうする。

 

振動を加えた結果を比較する写真。正常部は変化無し。汚染部では上下2層とも色が変化している
4)水層中にヨウ素が含まれていれば、四塩化炭素層は紫色となり、水層の褐色は淡色化する。

 

 試験方法(2):ヨウ素イオンの検出(硝酸銀水溶液による)

この反応はヨウ素の存在は妨害とならないが、ヨウ素を除去して試験を行うことが望ましい。

汚染部の抽出液に試薬を加え2層化している写真。共に無色透明
5)上記試験の3)から4)の操作を、水層の褐色および四塩化炭素層の紫色が消失するまで繰り返す。この操作により水層中のヨウ素の大部分が除去される。

 

上の水相部を別の試験管に採取した写真。正常部汚染部共に無色透明
6)5)の水層を約1mL試験管にとる。

 

抽出液に試液を滴下した写真
7)8%硝酸銀水溶液を数滴滴下する。黄色に濁ればヨウ素イオンの存在を示す。写真のように、この反応はそれほど鋭敏ではないので、後述の試験を行うことが望ましい。

 

 試験方法(3):ヨウ素イオンの検出(亜硝酸塩による)

この反応はヨウ素の存在が妨害となるので、ヨウ素を除去して試験を行うこと。

上の水相部を別の試験管に採取し試薬を滴下した写真
8)上記試験5)の水層を約2mL試験管に取り、氷酢酸1滴、亜硝酸ナトリウム0.01gを加える。このとき、ヨウ素が存在していれば褐色となる。

 

下の四塩化炭素相を別の試験管に取り振とうした結果の写真
9)四塩化炭素を約2mLとり、激しく振とうする。ヨウ素イオンが含まれていれば、四塩化炭素層は5の四塩化炭素層と比較して濃色(紫色)となる。

 

 


ページの先頭へ