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窒素酸化物に対する染色堅ろう度試験方法

印刷用ページを表示する 更新日:2016年12月19日更新

岡田 明子[発表者](繊維・化学グループ)、朝倉 守(開発本部開発第二部)、小柴 多佳子(繊維・化学グループ)

1.はじめに

  窒素酸化物による汚染は、染色物の変退色への影響が著しく、衣料品の損傷の観点から問題となっている。現行のJIS規格では、窒素酸化物を化学的に発生させ、注射器で規定量を採取し試験に用いる。この方法は、試験ごとに窒素酸化物の濃度が異なる点や高濃度の窒素酸化物が試験室内に漏洩する等の問題点が挙げられる。本研究では、窒素酸化物の供給にボンベからのガスを用いる試験方法を考案し、実験精度の向上を目指した。

2.実験方法

  ボンベからガスを供給する方法として1つめは、試作実験装置(図1)を用いて、ボンベからのガス(二酸化窒素(NO2))を常時一定流量流し続けるフロー法(供給濃度200ppm、供給流量11/min)で試験を実施した。2つめは、一酸化窒素(NO)99.0%のガスをボンベからポリフッ化ビニル製ガス採取サンプルバッグに一旦封入し、サンプルバッグから注射器で採取し供給に用いるバッチ法で試験を実施した。JIS法についてはJIS L 0855(弱試験(1サイクル試験))に準拠しガスを供給した。それぞれの供給方法について、装置内の窒素酸化物濃度および湿度変化を検討した。さらに、フロー法については、調湿方法の検討を行った。

試作実験装置の図
図1 試作実験装置

3.結果・考察

  1. JIS法、フロー法、バッチ法でガスを供給した際の装置内の窒素酸化物(NOx)濃度の測定値を表1に示す。フロー法およびバッチ法については試験ごとの装置内の窒素酸化物濃度のばらつきが小さい結果となった。
  2. 図2は試験装置内の湿度を30分間測定した結果である。JIS法およびバッチ法は試験装置内の湿度変化が小さいことがわかった。それに対して、フロー法は試験装置内の湿度低下が大きいことがわかった。
  3. フロー法で試験を行う際の湿度低下については、装置内に水を張ったシャーレを置く方法、洗気瓶に水を入れバブリングする方法で試験装置内を加湿することにより装置内の湿度を一定に保つことを可能とした(図3)。

表1 装置内窒素酸化物濃度の測定
装置内窒素酸化物濃度の測定の表

試験装置内の湿度変化の図
図2 試験装置内の湿度変化

試験装置内の湿度変化の図
図3 試験装置内の湿度変化

4.まとめ

  本研究では、窒素酸化物の供給にボンベガスを用いる試験方法について検討した。フロー法では、試験装置内を加湿することにより安定した湿度および濃度で暴露試験が実施可能であることを明らかにした。バッチ法については、装置内の湿度および濃度がJIS法と同程度でありJIS法と同条件での暴露試験が実施可能であることがわかった。

 


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