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非接触型センサを用いた電力監視システムの構築

印刷用ページを表示する 更新日:2016年12月19日更新

 

武田 有志[発表者]、金田 泰昌(情報技術グループ) 、大原 衛(経営企画室)、阿部 真也(経営情報室)

1.はじめに

  近年、省エネルギ化対策の一環として、工場やオフィスでの電力監視システムが開発されている。このようなシステムの導入は、見える化による環境意識向上だけでなく、機器の運転方法の見直しや低電力機器への置換により節電につながる。本システムは1台の電力計と、温度・加速度・照度等の非接触型センサを持つ複数のZigBee無線ノードで構成される(図1)。各測定対象にはクランプメータが不要であるという特徴を持ち、設置コストの削減に寄与する。また、測定データはPC上のデータベースに蓄積され、汎用ブラウザを通じJavaScriptにより可視化される。

電力監視システムの構成の図
図1 電力監視システムの構成

2.電力使用量推定アルゴリズム

  推定は、(1)機器稼働状況ON/OFFの検出、(2)個々の電力使用量の推定、の2ステージから成る。(1)では大津法(統計解析の一手法)を用い、ヒストグラムを最適に2分割するレベルでON/OFF判定の閾値を求める。(2)では連立方程式の解法を用い、(1)で得られた0/1組合せ状態と総電力量の変化から各機器の使用量を確定する。(1)は設置場所でのセンサゼロ点調整を不要にし、(2)は測定対象におけるカタログスペック上の電力設定を省くのに効果がある。

3.結果・考察

  図2はエアコンプレッサに対する測定の様子を示す。動作時間(500Wを超えた時間)は229秒である。Peak-to-Peakの単純な中間値と(1)の方法とでは各々161秒、210秒とされ、(1)は識別率を向上させた。一方、図3は機器数(=ノード数)10、機器電力20から200W、電力使用量ランダム変化±5%、変動間隔60秒、ON/OFF変化率50%で、推定値との差をシミュレーションにより求めた結果を示す。この結果、1分間隔でON/OFFを切り替えると20分程度で設置が完了する。ニューラルネットワークは精度が悪いが、20分経過前の補完としての利用が見込める。

加速度センサ付無線ノードでの測定のグラフ
図2 加速度センサ付無線ノードでの測定

各々の推定使用量と実際との誤差のグラフ
図3 各々の推定使用量と実際との誤差

4.まとめ

  設置の容易な非接触型センサによる電力監視システムついて報告した。今後は、実証実験と測定精度を高めるためのアルゴリズム開発を進める。

 


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