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力率改善アダプタの開発

印刷用ページを表示する 更新日:2016年12月19日更新

重松 宏志[発表者]、金岡 威、小林 丈士(電子半導体技術グループ) 、長谷川 孝(城東支所)、三上 和正(実証試験セクター)

1.はじめに

  我が国では、低消費電力の機器において、低力率(60%程度)の製品が出回っている。低力率の機器が増加すると、変電所等から供給される搬送電力の設備効率が低下するだけでなく、ひずみ電流が増加し他の機器への誤動作等の悪影響となる。 
  本研究では、OA機器等の消費電力50W以下の電気機器を対象とした力率改善(90%以上)用のアダプタ装置を開発した。本開発品を活用することで、電力の効率化・クリーン化を図るとともに、電力線内のひずみ電流の減少や、周辺機器へのノイズ対策を図ることを目的とした。

2.開発内容

  力率改善アダプタの外観図を図1に、概要を表したブロック図を図2に示す。力率改善アダプタは、力率改善回路、DC-DCコンバータ回路およびDC-ACインバータ回路の三つの回路から構成される。
  力率改善回路は商用電源(50Hzまたは60Hz・単相・100V)を入力とし、直流200Vを出力する。DC-DCコンバータ回路は、力率改善回路の出力である直流200Vを入力とし、直流125Vを出力する。DC-ACインバータ回路はDC-DCコンバータ回路の出力である直流125Vを入力とし、擬似正弦波(55Hz・単相・100V)を出力する。力率改善回路の制御用ICとしてオン・セミコンダクター社製Power Factor Controller MC33260を採用し、DC-DCコンバータおよびDC-ACインバータ回路の制御用ICとしてサイプレス社のPSoC(Programmable System-on-Chip)を採用した。

力率改善アダプタの外観の写真
図1 力率改善アダプタの外観
力率改善アダプタの概要の図
図2 力率改善アダプタの概要

3.結果・考察

  スライダックで電圧調整した商用電源AC100V・50Hzを測定用電源とし、摺動抵抗器を負荷として用いて効率の測定を行った。10Wの時の効率は約75%、20Wの時の効率は約84%、30Wの時の効率は約86%、40Wおよび50Wの時の効率は約87%である。
  LED電球2個(15.4W、力率0.6)を並列接続したものを負荷として、力率改善の確認をした。アダプタを介しLED電球を動作させた場合、力率が0.97に改善された。図3がそのときの電圧電流波形である。

力率改善アダプタを介しLED電球を動作させた場合の電圧電流波形のグラフ
図3 力率改善アダプタを介しLED電球を動作させた場合の電圧電流波形

4.まとめ

  今後、安全対策、小型化、及び低コスト化を進めれば、力率改善機能を有しない電気機器にこのアダプタを用いることで、手軽に力率改善機能を付加できるようになると考える。

 


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