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火山灰からなにかを―三宅島堆積火山灰調査の様子

印刷用ページを表示する 更新日:2016年12月19日更新

噴煙立ちこめる三宅島三池港へ到着した画像

日の出と共に神津島を出航し約1時間30分の船旅で三宅島に着きます。季節風を避けるため、波の穏やかな風下に当たる三池港へ着岸しました。風下ですので雄山からの噴煙が立ちこめガスマスクを装着しての上陸となりました。


三宅島の地図

これは三宅島の地図です。三宅島の主な道路として、海岸付近を通って島を一周している都道と雄山の中腹を一周しているはちまき道路とがあり、この間を多くの林道が結んでいます。今回は、この三池港から、都道を右回りに一周し、その間随時林道や住宅地に入り込んで、この図に記入してあります約13個所で火山灰の調査を行いました。


大路池の画像

最初の調査地点の大路池です。この池周辺は椎の特別保護区域に指定されており椎を中心とした濃い緑で覆われていました。この大路池付近では、今回の噴火でも前回の昭和58年の噴火でも被害が少なかった地域だそうで、木々への影響はほとんど見られませんでした。


山中腹にある村営牧場から雄山方面を見あげた所の画像

雄山中腹にある村営牧場から雄山方面を見あげた所です。噴煙が東の三池港の方へ流れているのが見えます。濃い二酸化硫黄を含むガスは青黒く見え、白い雲と区別できます。牧草地より上の噴火口に近い木々は壊滅状態です。


 水の流れによって形成された水路の画像

牧場付近は噴火口にも近く、かなりの降灰があった地点です。火山灰が雨で硬い粘土状になったため、雨が地中にしみこまずに表面を流れるため、このような無数の細い水路が形成されています。


火山灰に半ば埋もれた畜産センターの画像 伊ヶ谷駐在所前に積み上げられた土嚢 伊豆地区の民家に積み上げられた土嚢の画像

島の北西部にあたる伊ヶ谷、伊豆地区は火山灰が大量に降った地域です。民家の前や道路際の随所に火山灰の土嚢が積み上げられています。風雨にさらされた土嚢はかなり傷んで、灰が露出しているものも多く見られました。


伊ヶ谷林道路肩に積み上げられていた火山灰の画像

伊ヶ谷林道では、道路に積もった火山灰を端に寄せたために、道路脇に火山灰の山ができています。道路の両脇は、あまり被害を受けていない様子のヤシャブシやツバキの雑木林が続いています。


火山灰の中でも実をつけるヤシャブシの木の画像

土佐林道脇の火山灰が積もったなだらかな傾斜地。ヤシャブシの木が火山灰の中から生育しているのが見られます。ヤシャブシの実および樹皮は豊富にタンニン酸を含むため重要な植物染料となっています。


火の山峠付近の道路寸断個所の画像

はちまき道路はまだ至る個所で道路が寸断されています。これは火の山峠付近の道路寸断個所です。


泥流に半ばまで埋まった木々の画像

これは道路寸断の原因になった、沢沿いに発生した泥流の跡です。木々が泥流に半ばまで埋まっています。三宅島はもともと多孔質のスコリアで覆われているため水はけは良かったのですが、今回の噴火による火山灰で目詰まりを起こし、泥流の原因となったそうです。


 赤場暁と呼ばれている個所の画像

この付近は赤場暁と呼ばれている個所で、1940年の噴火で出来た地形です。この丘は1940年の噴火で形成されたスコリアでできた丘で、ひょうたん山と呼ばれています。このふもとの窪地には湿った火山灰が厚く層状に堆積していました。


三池港の画像

これで島を一周し、三池港に帰ってきました。出発時と同様に雄山からの噴煙が流れ込んでおり、身につけていた亜硫酸ガス検知管が6ppmの値を示していました。二酸化硫黄の環境基準は1日の平均で0.04ppmですのでかなり高い値と言えます。


ガスマスクを着用している画像

三池港で乗船待ちの間も全員がガスマスクを着用しています。


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