各種試薬に対する溶解性試験

印刷用ページを表示する 更新日:2018年1月5日更新

適当な大きさの糸を薬品中に入れ、糸の溶解性を観察する。溶けたか溶けないかを確認するということで、他の方法に比較して、確実な方法である。また、繊維の色に左右されないという長所がある。ただし、一種類の薬品に対し数種類の繊維が溶解する場合が多いので、試薬をいくつか組み合わせるとともに、他の試験方法とも合わせて行う必要がある。したがって、他の試験方法によりある程度めぼしをつけたところで、最終確認としてこの試験を行う場合が多い。

試験方法は適当な大きさの糸状にほぐして試験管に取り、試薬を約5mL加え、加温の必要なものは加温しながら、試薬の溶解性を確認する。溶解の様子は試薬と繊維の種類によって異なるので、あらかじめ既知の繊維の溶け方を確認するとよい。

また、試料量が微量の場合や混紡品はマウント剤を試薬とすれば、顕微鏡下で溶解性を確認することができる。しかし、濃塩酸・濃硫酸など腐食性のある試薬は使用できない。

表に各種繊維の各種試薬に対する溶解性を示す。試薬の種類は表に示すもの以外にもあるが、ここでは必要最低限のみを示す。その他の試薬に対する溶解性および試薬の調製方法についてはJISを参照されたい。

 

種繊維の各種試薬に対する溶解性(1)
繊維名60%
硫酸
70%
硫酸
濃硫酸酸化銅アン
モニア溶液
20%
塩酸
35%
塩酸
5%水酸化ナト
リウム水溶液
次亜塩素酸
ナトリウム
綿×××××
×××××
×
(煮沸)
××××××
(煮沸)
レーヨン・キュプラ
ポリノジック
×××
アセテート××××
プロミックス××××××××
ナイロン×××
ビニロン×××
アクリル
(アクリル系)
×××××××
ポリエステル×××××××
ポリプロピレン××××××××

 

種繊維の各種試薬に対する溶解性(2)
繊維名100%
アセトン
ジメチル
ホルムアミド
65%
チオシアン酸
カリウム水溶液
ニトロ
ベンゼン
キシレンフェノール・
四塩化エタン
綿××××××
××××××
××××××
××××××
レーヨン・キュプラ
ポリノジック
××××××
アセテート×
(煮沸)
×
プロミックス××××××
ナイロン×○(煮沸)×××
ビニロン××××××
アクリル
(アクリル系)
○※
(40から50℃)
○※
(40から50℃)

(アクリルのみ)
○※
(煮沸)
×
(アクリル系のみ)
ポリエステル×××
(煮沸)
×
(40から50℃)
ポリプロピレン×××
(煮沸)

(煮沸)
×

※アクリルは種類によって溶解性が異なる。