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海外規格Q&A「欧州RoHS指令」社内管理

印刷用ページを表示する 更新日:2017年12月1日更新

TokyoLogo本ページのQ&Aは、東京都委託の「平成28年度海外展開技術支援『海外規格適合化の普及啓発』事業」により作成しました。

欧州RoHS指令 : 社内管理

Q.16  文具や家具をつくっているメーカーですが、これらが電子機器製品に使用される場合の適切な対処法について教えてください。製品材料に特定有害化学物質は使用していないので、不使用として宣言して良いでしょうか、分析は必要でしょうか。

 貴社の顧客が国内企業であれば、EUの法規制であるRoHS(II)指令は直接的に適用されることはありません。しかし、EUに輸出している顧客はRoHS(II)指令などを順守する義務があり、ビジネス契約として、顧客は貴社からの納入品について、RoHS(II)指令の特定有害化学物質の非含有証明を求めることがあります。
 EUに輸出している顧客がサプライチェーンを遡って確証データを入手するための手順がRoHS(II)指令第16条2項※1に決められています。同項により整合規格EN50581(有害物質の使用制限に関する電気•電子機器の評価のための技術文書)が指定され、EN50581に準じてサプライチェーンマネジメントが行われています。
 EN50581 4.3.2項2では、順法の確証は、リスクベースにより企業判断に委ねられています。
 必ずしも分析データを添付する必要はなく、顧客と協議して、双方にとって適切な確証(エビデンス)を決定することができます。たとえば製品ごとに、不使用証明で良い、あるいは適合宣言書を準備するなどの方法を決めることになります。貴社が購入資材について、特定有害物質の非含有を確認する必要があれば、EN50581に基づき、適切な確証を決定することになります。
 EN50581の考え方は、貴社の購入部品、材料についてのエビデンスの決定に利用できます。
 なお、サプライチェーン間の情報伝達スキームとして、chemSHERPA(ケムシェルパ)が開発され、2018年4月からの全面運用に向けて取り組みが進められています。

※1 第16条(適合性の推定)(意訳)
2.第4条の要求事項への適合を証明する試験および測定が実施されているか、またはEU官報で告示されている整合規格にしたがって評価されている材料、構成部品および電気・電子機器は本指令の要求に適合していると推定されるものとする。

※2 EN50581 4.3.2. 必要な情報の決定(部分意訳)
材料、部品、半組立品に必要とされる技術文書の種類は、製造者の評価に基づくべきである。
a)材料、部品、半組立品に制限された物質が含まれている可能性
b)サプライヤーの信用格付け

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Q17. RoHS(II)指令対応において、サプライヤーからの非含有情報をどの程度まで厳しく集める必要があるでしょうか。RoHS(II)指令の要求に対して、日本企業は厳格に守ろうとしているが、EU企業の管理は甘いとも聞きます。

 RoHS(II)指令の順法の確証は、自社での含有試験分析だけでなく、EN50581のリスクベースにより、自社で決めることができます。リスクはゼロにすることができず、また、定量化も難しいものです。リスクとは、「ある事象生起の確からしさと、それによる負の結果の組み合わせ」(JIS Z 8115)とされ、次のような表現もされます。

 リスク= ハザード×ばく露・確率(起こりやすさ)

 ハザードは法的義務や影響などを指します。多くの企業担当者は、ハザードを絶対に違反してはならないとして、「万が一」ではなく「万々が一」に備える気風があり、リスクベースと言いつつもハザード管理になっているのが実態です。一方、EU域内ではリスク管理がある程度定着していますので、日本企業からみると、管理が緩いように思えます。EU企業はリスクに応じてメリハリを付けた管理をしています。EUの材料メーカーやユニットメーカーなどはかなり厳しい管理を行っており、日本のサプライヤーに厳しい要求をしている事例もあります。
 リスク管理はリスクの特定から始めます。RoHS(II)指令であれば、特定有害化学物質の使用、混入する可能性を確認します。例えば、

工程:機械加工・表面処理(化学めっき、電気めっきなど)・射出成型
素材:金属(鉄・銅など)・樹脂(PVC・PPなど)など
原産地国など

 自社に納品されるまでの工程や使用材料から、リスクを点数付けし、同時にサプライヤーの管理レベルからリスクを算定します。やり方はEN50581にありますが、使用材料の含有リスクはIEC62321-2が参考になり、サプライヤーの管理レベルは各社で行っているサプライヤー評価制度を利用します。
 例えば、ステンレス材を加工している部品では、特定有害化学物質の含有やコンタミネーションの可能性は極めて少ないので、ステンレス材を使っていることの確認で良くなります。しかし、塗装している場合は、塗料から鉛やカドミウムなどが混入する可能性を否定しきれません。この場合は、塗料のSDS(Safety Data Sheet : 安全データシート)を確認することなどが必要です。めっきや射出成形などの工程を含む場合も含有リスクは高くなります。
 これらのサプライヤーは小規模企業が多く、SDSを用意していない場合などがあります。このような場合は、塗料メーカーのホームページなどで確認することもできます。
 このように、管理の方法は一律ではなく、重点を見極めることが留意点になります。

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 Q18. RoHS(II)指令では、製造工程で特定有害化学物質を使用してはいけないのでしょうか?

 RoHS(II)指令は、最終製品に関する特定有害化学物質の使用を禁止するものであって、製造工程では使用を禁止しておりません。
 例えばクロムめっきの場合では、めっき液に6価クロムを使用しますが、製品のめっき膜は金属クロムになっていて表面を洗浄することで最終製品中には6価クロムは残らず、クロムめっきは安心して利用することができます。しかし、作業上の留意点としては、使用する部品の表面にくぼみや溝などがあると、その部分に6価クロムが入り込んでしまうことがあります。また、めっき後のめっき液の洗浄作業が不十分な場合も、6価クロムの残留が発生するため手順書の作成やチェックシートによる管理の徹底などが必要です。
 ステンレス材を加工している部品では、表面が平滑である場合は含有やコンタミネーションの可能性は極めて小さく問題ないと判断されます。
 しかし表面塗装の工程がある場合などでは、塗料中にカドミウムや鉛が含有される可能性があります。この場合は、塗料のSDS(安全データシート)の確認をすることなどが必要です。
 このように、最終製品へのコンタミネーションを防止するためには、以下のような作業工程全体の管理が重要になります。

(1)重点管理項目の抽出
(2)重点管理工程の特定
(3)工程表の作成
(4)生産管理段階における項目のチェック
(5)記録の保管
(6)問題発生時の対応としての原因の特定と再発防止対策の構築など工程全体を管理する体制づくり。

 作業管理面では、不良品の手直しなどで、自社内で鉛を含有するはんだに使用したはんだごてを製品組み立て時などに誤使用するとコンタミネーションが生じるなど、生産管理および作業管理の不備から問題が生じる原因になります。
上記のようなさまざまな問題の発生が考えられますので、生産工程を中心としたマネジメントのしくみを整える必要があります。

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Q19. 電子部品を製造していますが、RoHS(II)指令を順守するためにはどのような管理体制が求められるのでしょうか?

 RoHS(II)指令を順守するためには、サプライチェーン全体で製品に含有される化学物質について適正に把握できる管理体制づくりが求められます。
電子部品製造企業の場合は川中企業に位置するため、貴社が部品や資機材を調達しているサプライヤーに対して、それぞれの購入品が、RoHS(II)指令を順守していることを、サプライヤーから宣言してもらう必要があります。
 次に、自社製品の含有化学物質管理は、従来の含有制限6物質について管理基準を満たす製品を実現できるように、設計・開発から調達、製造、引渡しまでの各段階で、管理基準に基づき、自社製品に含有される化学物質の管理体制が求められます。
 しかし、電子部品製造において検出される物質は決まっており、対象物質は以下の通りです。

  1. 6価クロム:めっきや顔料として使用、または3価クロムの酸化で生成される。
  2. 鉛:無機顔料や着色剤、はんだ付けのはんだに含有されることがあります。
  3. 水銀:古い電池や蛍光灯、液晶などで使用されることが稀にあります。
  4. カドミウム:電池、無機顔料として塗料・樹脂などの着色に使用されることがあります。
  5. ポリ臭化ビフェニルなどの有機物質:樹脂などの難燃剤や可塑剤として使用されます。

 管理としては、例えば、はんだ付けであれば、はんだそのものの管理に加え、使用するコテなどの工具類からのコンタミネーションの可能性も管理する必要があります。
それぞれの段階を管理・運営するには、これらの製品含有化学物質管理のしくみを確立・文書化・実施・維持し、継続的に改善することが望ましいです。
 川上のサプライヤーに関しても、供給材料、部品、および半製品などへのRoHS(II)指令が対象とする化学物質の含有の可能性およびサプライヤーの信頼性を継続的に評価することが必要です。
また、貴社の川下企業にあたる顧客に対しては、これらの製品情報や管理記録などの情報を伝達するなど情報の公開も求められるので、それらを管理する体制も必要となります。
 自社で構築した体制を確認・評価してもらうことや、RoHS(II)指令などの規制の変化に対応して、最新の情報を入手するためにも、MTEPの相談やMTEPセミナー、行政や地域支援機関、各種の工業会などをご活用ください。

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Q20. 機能追加等によって頻繁に仕様変更が発生する場合、RoHS(II)指令対応として、変更管理をどこまで厳密に行う必要がありますか?

 機能追加等によって頻繁に仕様変更が発生する場合、RoHS(II)指令対応に必要となる変更管理としては、機能追加による設計変更および仕様変更に対して、部品管理表を作成して変更点を示すことが良いでしょう。材料の変更がない場合は、その旨を明確にすることで、新たな分析等は必要がないと考えます。一方、材料の変更や製造方法等に変更がある場合の対応は以下の通りです。

1.自社製品の製品含有化学物質に影響する可能性のある要素を洗い出します。
 自社製品の製品含有化学物質に影響する可能性のある変更を抽出し、変更管理の対象とすべきかどうか、製品含有化学物質への影響の観点から検討します。
*組織内の人(Man)、機械(Machine)、材料(Material)、方法(Method)の4M  *サプライヤーにおける4Mの変更、サプライヤーの変更・追加など

2.変更を行う場合の手順を定め、手順に従って変更を管理します。

 1)変更を行う場合の留意事項
  4M等の変更を、QC工程表に反映する場合の留意点は以下のとおりです。

(1)QC工程表が変更になった場合は、必要に応じて作業者への教育を行う。
(2)QC工程表は保管時に整理しておき、すぐに取り出せるようにしておくこと。
(3)QC工程表の変更管理は遅滞なく行い必要とする版が利用できるようにすること。
(4)現場監督者は定期的にQC工程表が活用されているかチェックすること。
(5)QC工程表の内容に不備があった場合は速やかに訂正すること。

 2)変更管理の事例

(1)自社製品の含有化学物質に大きな影響を生じる可能性があれば、その変更の要素を抽出して変更時の手順を定め、必ずその手順に従って変更管理を行う。
(2)必要に応じてサプライヤーとも協議し、上記と同様の手順を定めてサプライヤー(2次、3次以降も含む)へ周知する。これらの手順に基づきサプライヤーにおける変更情報を事前に入手する。 
(3)自社製品の製品含有化学物質情報に変化が生じるような変更を行う場合は、事前に顧客に連絡する。必要に応じて製品のロット情報や識別情報も提出する。
(4)自社製品の製品含有化学物質情報を作成する際の根拠として、また、トレーサビリティー情報として活用するため、変更管理の結果は記録する。 
(5)不特定多数の顧客に納入される製品の含有化学物質が変更になる場合は、ロット番号管理を徹底するなどの方法により識別できるようにする。

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Q21. RoHS(II)指令の整合規格であるEN50581ではどのようなことが定められているのでしょうか?

 EN50581はRoHS(II)指令の整合規格で、製造者に要求される技術文書の中で、製造者が電気・電子機器における有害物質の非含有を保証するための技術文書作成に関するガイドラインです。
 EN50581は以下の項目で構成されています。

1.範囲、引用規格、用語の定義

2.技術文書

1)概要と技術文書に必要な項目
2)材料や部品および/または半組立品に関する情報
3)製造者によって実行されるタスク、必要な情報の決定、情報収集、情報の評価、技術文書のレビュー

3.附属書A:RoHS(II)指令(2011/65/EU)及び技術文書との関係
この技術文書のうち、製造者が物質規制を順守していることを宣言するために整備する必要があるのは以下の4種類です。

1)材料や部品、および/または (and/or) 半組立品に関する情報
2)サプライヤー宣言書、および/または (and/or) 契約上の合意
3)材料宣言書
4)分析試験結果

この4種類の文書は「および/または(and/or)」で採用するとしており、「および(and)」にするか、「または(or)」にするかは、製造者の以下の評価(アセスメント)に基づくとしています。

a)材料、部品、半組立品の特定有害化学物質の含有の可能性
b)サプライヤーの信頼性格付け

a)の材料、部品、半組立品の特定化学物質の含有の可能性については、有害物質の含有/非含有が不明な場合の対応としては、技術的判断を加える必要があります。この技術的判断は電気・電子業界で利用されている技術的情報や電気・電子部品のデータシートに基づいて行うことができます。
b)サプライヤーの信頼性格付けについては、「サプライヤーの過去の経験」や「サプライヤーの出荷試験や検査の結果」から自社で評価することができます。
RoHS(II)指令では、a)の材料、部品、半組立品の特定化学物質の含有の可能性とb)のサプライヤーの信頼性を、その組み合わせからリスクベースの考え方に基づき評価します。

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Q22. 川中の部品メーカーですが、RoHS(II)指令の整合規格であるEN50581に基づいて管理をしなければなりませんか?

 RoHS(II)指令の第7条にて、電気・電子機器の製造者の義務として、整合規格EN50581「有害物質の使用制限に関する電気・電子製品の評価のための技術文書」に適合する技術文書の作成が定められています。川下の製造者の義務としているため、川中の部品メーカーの貴社は必ずしもEN50581に基づいた管理を行う必要はありません。
   ただし、RoHS(II)指令の順法確認は、均質物質と呼ばれる機械的に分解できる最小単位を対象として、サプライチェーンマネジメントの工程ごとに行うこととしています。これは、最終製品になってから特定有害化学物質の濃度を測定することが困難であるからです。最終製品メーカーはサプライヤーから部材の順法確認情報を取り寄せ、部材ごとの順法確認を行うことになります。
   最終製品メーカーである顧客は、各部材の順法確認情報を取り寄せできない場合にはサプライヤーの変更や調達品の変更を行う必要も生じるため、顧客から順法確認に必要な文書提出が求められた場合、貴社は文書の提出に応じることが望ましいといえます。具体的には、顧客は整合規格EN50581で規定される「サプライヤーの供給する材料、部品および半組立品などへの特定化学物質の含有の可能性」および「サプライヤーの信頼性格付け」の評価を行った結果に基づき、以下に示すいずれかまたはそれらの組み合わせを貴社へ求める可能性があります。

a)サプライヤーによる自己宣言書/契約上の合意
調達部材に関して、含有する特定有害化学物質が最大許容濃度以下であることの証明書や貴社の要求仕様を満たすことを確約する署名入りの契約書

b)含有化学物質情報
含有される特定有害化学物質の情報であり、重要な事項については、サプライヤーへの注文書などの購買文書に記載する必要があります。

c)分析試験結果
EN62321による分析試験結果

 「サプライヤーの信頼性格付け」については、「サプライヤーの過去の経験」や「サプライヤーの出荷試験や検査の結果」から評価しています。多くの企業では、上記のいずれかまたはそれらの組み合わせの情報提供に加えて、ISO9001品質マネジメントシステム、JIS Z 7201、JAMP(アーティクルマネジメント推進協議会)が発行している製品含有化学物質管理ガイドラインに基づいた「製品含有化学物質管理体制の構築・運用」を求めて、情報提供内容の信頼性を担保しようとしています。

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Q23. RoHS(II)指令に対応するためには、ISO9001の認証取得が必要なのでしょうか?

 必ずしもISO9001の認証取得が必要ではありませんが、製造者の基本管理事項として法規制・顧客要件に適合した製品品質を達成するために、ISO9001相当の内部管理が求められています。

1.RoHS(II)指令の要求事項
 RoHS(II)指令の第7条に製造者の義務として、「上市する電気・電子機器製品は第4条の要求に適合させ、技術文書を作成し、モジュールA(決定No.768/2008/ECの付属書II)に従い、内部生産管理手順を実施、もしくは実施された状態とすること」と定められています。これは、モジュールAによるCEマークの貼付とともに、CEマーキングにおけるサプライチェーンの各段階のリスクに基づく考え方を用いた継続的改善サイクルを回すことも求められているといえます。
 RoHS(II)指令が引用している決定No.768/2008/ECや規則No.765/2008/ECによると、モジュールAでは、製造業者の社内設計・生産管理において、製品がRoHS(II)指令の要求事項に適合していることを示す技術データの確証に認証機関の関与が不要としています。ただ、量産品の管理が要求されているため、生産者の基本管理事項として、ISO9001相当の内部管理を要求しているといえます。
 ISO9001認証取得を受けている場合、既存の仕組みを活用することができます。

2.製品含有化学物質管理の各要求事項とJIS Z 7201, ISO9001の関係性について
 製品含有化学物質の適切な管理の実践と信頼性の高い製品含有化学物質情報の授受を目的として、chemSHERPAがあります。chemSHERPAは、サプライチェーン全体を通じて製品含有化学物質管理が確実かつ効率的に実践されるように、共通的な製品含有化学物質の情報伝達の考え方を示しています。chemSHERPAの運用の流れとして、製品含有化学物質・情報提供に関する業務の見直しによって社内体制を構築し、サプライヤーと顧客とのchemSHERPAによるデータ授受が想定されています。
 具体的な管理の要件の詳細については、JAMP(アーティクルマネジメント推進協議会)が発行している製品化学物質管理ガイドラインの附属書Aに掲載されており、JIS Z 7201:2012、ISO9001:2015との対応が示されています。製品化学物質管理ガイドラインで求める主要な実施項目とISO9001:2015の各項目がそれぞれ対応していることから、ISO9001を取得している場合に、管理に取り組む組織の判断によって、既存のしくみを活用した製品含有化学物質の管理体制を構築することも可能です。

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Q24.RoHS(II)指令に対応するためには、製造委託の管理はどのように実施すればよいでしょうか?

1.製造者の義務および定義
 RoHS(II)指令の整合規格のEN50581では、「製造者は、電気・電子機器が有害物質の規制を遵守していることを証明するために技術文書を作成しなければならない」と定めており、そのために、サプライチェーンの上流に遡って「管理状態」の確認や「証拠書類」の収集を行うことを求めています。なお、RoHS(II)指令では、「製造者」を自社の名称、ブランドで電気・電子機器を販売する者と定義しています。

2.製造委託の範囲(ファブレス、OEM、部分製造委託)
 製造委託にはファブレス、OEM、部分製造委託などがありますが、上記のようにRoHS(II)指令における製造者の義務および定義から、いずれであっても委託元となる「製造者」が製造者としての義務を履行できるよう、製造委託先の管理を行うことが求められます。

3.具体的な管理内容「外部委託先の管理」
 製造委託先を具体的に管理する方法としては、基準書、作業手順書、QC工程表といった工程管理表を双方合意で作成します。その合意に基づいて、製造委託先の管理責任部門は委託元の指示通りに管理ができているかを確認し、委託元の要請に応じて適切に管理していることを示すことが必要となります。実施方法から記録方法に関する一連の流れを外部委託先管理規定として文書化することも重要です。なお、製造委託先の特定有害化学物質の管理状況の確認は、書面調査や実地監査によって行います。具体的な確認事項としては、EN50581で規定される「サプライヤーの信頼性格付け」の評価に求められる設計や購買、製造に関する管理項目、実施内容の記録、一連の流れの文書化などがあげられます。
 管理するポイントは部材調達先の信頼性、サプライチェーンにおける商品管理、製造工程の検査、汚染のリスク、店頭管理、従業員の知識や教育方法などがありますが、製造委託の範囲によって、管理上のリスクが異なるため、重点的に管理すべき事項は異なります。例えば、委託先が独自に部材の調達を実施する場合は、委託元が部材を供給する場合に比べ、有害物質を含有するリスクが高まるため、委託先の購買が適切に行われているかが重要な管理項目になります。また、自社が設計し、製造を委託している場合には、自社の設計指示に従って委託先が適切に製造しているかが重要となりますが、一方、設計から製造まで委託している場合には、設計段階から特定有害化学物質を考慮した上で、設計指示に従って、購買や製造といった関連する工程が管理されているかが重要となります。
 このように、自社製品の特定有害化学物質管理を適切に行うために、委託元は委託範囲に応じて、委託先に必要な管理を求め、定期的に委託先の管理状況を確認することが必要となります。

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Q25.サプライヤーのRoHS(II)指令への管理状況はどのように確認すればよいでしょうか?

1.RoHS(II)指令の要求事項
 川下製造業者がRoHS(II)指令に対応するためには、サプライヤーからRoHS(II)指令附属書IIにリストされている特定有害化学物質が非含有の部品を供給してもらうこと、およびサプライヤーの管理状態が明確であること、が必要です。川下製造業者単独ではRoHS(II)指令に対応できないため、サプライヤーの協力が不可欠といえます。

2.自社の製品含有化学物質の管理基準について
 サプライヤーのRoHS(II)指令に対する管理状況を確認するには、購入する製品が自社の製品含有化学物質の管理基準を満たすように管理することが必要です。RoHS(II)指令に見合う管理基準については、整合規格EN50581ならびに附属書IIのモジュールAの要求事項から、ISO9001同等の管理システムが求められているといえます。なお、ISO9001:2015におけるサプライヤー管理の項目は「8.4 外部から提供される製品およびサービス管理」に該当します。

3.サプライヤーの管理状況の確認の具体的な進め方
 サプライヤーの管理状況の確認を具体的に進める手段として、書面審査と現地監査があります。書面審査については、企業独自のサプライヤー評価表やチェックシートに製品含有化学物質管理に関する項目等を追加し、サプライヤーの製品含有化学物質の管理状況を確認します。現地監査については、書面審査の結果や過去の取引実績、取引量、品質不良の発生率などを踏まえ、必要に応じて具体的な管理状況を確認します。
 書面審査、現地監査によるサプライヤーの管理状況の確認結果として、自社が求める管理基準を満たしている場合には採用、取引継続と判断できます。しかしながら、自社が求める管理基準を満たしていない場合には、改善要請や指導によって改善を促し、それでも改善が図られない場合等においては取引停止などの措置も含めて検討することになります。

4.既存の仕組みの活用
 このようなサプライヤーの管理状況の確認に関する取り組みは、新たな取り組みを行う必要はありません。ISO9001等の品質管理や与信管理等ですでに実施されている取り組みを活かしながら、製品含有化学物質管理の視点を組み込むことが有効です。RoHS(II)指令では、サプライヤー管理の明確な基準が設定されているわけではありません。そのため、どのレベルの管理をサプライヤーに求めていくかは、リスクに応じて川下製造業者が決定していくことになります。
 川下製造業者の製品をRoHS(II)指令に対応するためには、サプライチェーンにおける協力が不可欠であるため、一方的にサプライヤーに管理を求めるだけでなく、情報提供や改善に向けた助言等によってサプライヤーを支援することも必要となります。

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 Q26.電気・電子製品を世界各国に輸出しています。各国の主要な法規制対象物質を網羅した業界標準はありますか?

1.国の法規制
 電気・電子機器に特定有害化学物質を含有させないことを目的として制定されたRoHS(II)指令については、各国で同様の法律はあるものの、国ごとに法規制対象物質や最大許容濃度が異なります。

2.業界としてリストを整備
 上記のような背景から、企業の負担を減らすために、各業界で法規制対象物質リストを整備しています。電気・電子製品についてはIEC(国際電気標準会議)が製品含有化学物質管理リストとしてIEC62474データベースを作成しています。

3.IEC62474データベースの概要
 本データベースの目的は、報告物質の要求事項の整理、物質・材料の情報伝達のプロトコルの標準化、データの転送や処理を容易にすることで、サプライチェーン全体の情報の調和と経済的効率の向上を行うこととされています。主に「材料宣言」と「データベース」の二つのパートから構成されており、報告物質リスト、参考物質リスト、材料区分、報告物質のためのXMLスキーマの4つのタイプの情報を提供しています。サプライチェーン全体で法規制対象物質の情報共有を行うために、IEC62474の要求に基づいたシステムが組み込まれたXMLスキーマを用いて事業者間でデータ交換を行えることが特徴といえます。本データベースについては半年おきに改正されているため、適時注目する必要があります。
 各国の法規制に対応する必要があるか調べる場合には、報告物質リストを確認し、記載されている用途であるか、閾値以上に含有するか確認します。閾値以上の場合には報告する義務が生じるため、XMLスキーマを用いて輸出国の対象機関に情報提供します。

4.その他業界のリスト
 電気・電子製品の用途では法規制対象物質となるものでも、業界によっては規制基準が異なるため一概に法規制対象物質となるとは言えません。他業界においても業界標準となる法規制対象物質リストが作成されていますので、用途に応じてその都度業界標準の法規制対象物質リストを参照する必要があります。自動車においては、法規制としてEU ELV指令(End-of Life Vehicles Directive)、法規制対象物質リストとしてGADSL(Global Automotive Declarable Substance List)があります。成形品全般については、法規制としてEU REACH規則、法規制対象物質リストとしてJAMP (アーティクル推進マネジメント協会)管理対象物質リストがあります。アパレル業界においては、ZDHC(有害化学物質排出ゼログループ)ならびにAAFA(米国アパレル・フットウェア協会)の製造時使用制限物質リストMRSL(Manufacturing Restricted Substances List)があります。

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 Q27 顧客から工程内で使用する工具について、RoHS(II)の特定有害物質が非含有であることを確認することが求められました。工具類は種類も数も多く、どこまで調査すべきか教えてください。

 工具類から製品に特定有害物質が付着する(コンタミネーション)の可能性はゼロではありません。一部のセットメーカーのグリーン調達基準などで、工具類の特定有害化学物質の非含有証明を要求している例はあります。
 RoHS(II)指令の適合性評価手続きは、決定 No.768/2008/ECの付属書II「適合性評価手続き モジュールA(内部生産管理)」を選択することが指定されています。その第3項では「製造者は製造工程及びその監視が、製造した製品を技術文書及び適用される法令の要求事項へ適合していることを確実にするために必要なあらゆる処置を実施しなければならない」と記載されています。
 製造者が、特定有害化学物質が非含有であることを保証することが必要になりますが、現実的には製造工程内で使用する工具すべてについて調査するのは困難な場合があります。その場合の考え方としてRoHS(II)指令の整合規格EN50581に記載されているリスク評価を用います。EN50581ではすべての素材、部品、サブアセンブリについて特定有害化学物質の含有率を測定することは求めておらず、含有リスク評価の考え方に基づいています。
 リスク評価の方法としてBOMcheckの「評価マトリックス」による方法があります。評価マトリックスは「RoHS(II)指令適合性についての製造工程の信頼性」×「二次汚染が考えられる特定有害物質の含有確率」のマトリックスで考えられます。このリスク評価マトリックスで、製造工程で使用する工具の腐食やめっき部分のはがれ等の経年変化により製品への付着・混入する事がないこと、もしくは混入しても特定有害物質の含有確率以下であることを判定した根拠を示すことです。
 もし、含有リスクが高い場合は、独自に物質の含有率を分析して、その結果を技術文書の確証とします。また、含有リスクが低い場合は、評価マトリックスによる判定で含有リスクが低いと判断した旨を技術文書に記載します。
 ただ、一般的な作業であるドライバーでネジを締めつけるなどの作業では、コンタミネーションの可能性(リスク)は低いと思われます。このような場合は、BOMcheck の「リスクの一次審査(3.3.1 )にある「RoHS物質が含有されていないことを独自の技術判断を用いて行う」ことでもよいと思います。
 工具の選定、作業方法は、リスクをベースにして、重点管理作業項目の特定、工程の特定、工程表の作成、生産段階における管理項目のチェック、記録の保管、予期しない問題発生時における原因の特定と再発防止策の構築など、工程全体を正しく管理する仕組みを検討し選択するようにします。

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 Q28 当社は電気・電子製品以外にも使用される中間ユニットを製造しています。ある顧客からRoHS対応工場と非RoHS対応工場を分離することが要求されました。作業効率が悪く困っていますが、よい方法を教えてください。

 対応ができない場合には、非RoHS対応である中間ユニット製造の工程を分離するのではなく、次のようなRoHS(II)指令に適合させるように管理することで顧客の承認をもらうことをお勧めします。

 はんだ付け用の鉛やめっきに含まれる六価クロムなど、RoHS(II)指令に該当する特定有害物質を確認する。

 その物質についてRoHS(II)指令適合品の採用、材料取り違い防止やコンタミネーション防止などの管理を行いRoHS(II)指令に対する適合保証をします。

 例えば、はんだ工程で有鉛はんだを使用する場合は、使用するはんだと使用する設備の管理およびそれらに付随する管理が必要です。

1.コンタミネーションを防止するための管理

1)はんだの管理:鉛フリーはんだについて保管容器の色を変えるなど識別管理を徹底して、誤って鉛入りはんだを使うことがないように保管場所も別にします。
2)コンタミネーションの可能性の排除:次に、同一設備で製造することによるはんだのコンタミネーションの可能性を排除することです。

a)リフローの場合 たとえばリフロー炉を使用している場合では、前工程にはんだ印刷があり、印刷機が使われます。ここでははんだペーストを基板に転写するためのへら等のツールの管理が重要です。RoHS(II)指令適合製品用の専用品を用意し、さらにRoHS(II)指令非適合製品用のものと一見して識別できるように色を分ける等の識別管理が必要です。
b)手付けはんだの場合 手作業ではんだ付する場合は、糸はんだの誤使用をさけるため、有鉛はんだと鉛フリーはんだは、違う色にする等の使い分けなどの識別管理が必要です。

3)その他の付随管理:工程内の仕掛品等の半製品に対して、RoHS(II)指令適合製品は、使用する搬送治具や半製品の一時保管ラックを専用化し、その他の製品と分けることが必要です。

2.管理を継続するための仕組み作り
 作業者が変わっても、管理できるように管理手順を明確化し、文書化することが大切です。特に不具合や不良が発生した場合の対応の仕方を、作業手順や留意事項等を決めて作業要領書にまとめて活用することです。


3.顧客対応
 以上の対応に加えて、顧客から指定有害物質非含有の証明書を求められた場合の対応を取り決めておくことも必要です。 

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