ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 広域首都圏輸出製品技術支援センター > 海外規格Q&A「欧州RoHS指令」分析試験

海外規格Q&A「欧州RoHS指令」分析試験

印刷用ページを表示する 更新日:2017年12月1日更新

TokyoLogo本ページのQ&Aは、東京都委託の「平成28年度海外展開技術支援『海外規格適合化の普及啓発』事業」により作成しました。

欧州RoHS指令 : 分析試験

Q.38 RoHS(II)指令対応のため、特定有害化学物質の含有分析を行っていますが、分析コストを削減するための取り組みはどのように行えばよいでしょうか?

 RoHS(II)指令の特定有害化学物質管理は自社で取り組むだけでなく、材料や部品のサプライヤーやめっきなどの委託加工先も含めて行うことにより自社の分析コストを削減することができます。
 RoHS(II)指令の整合規格EN50581:2012の序文では、「均質材料のレベルで適用さことれる制限に関して、複雑な製品の製造者にとっては、最終組立製品に含まれるすべての材料について独自の試験を実施することは非現実的である。代替手段として、製造者は適合遵守を管理するために、サプライヤーと連携し適業順守の証拠として技術文書を作成する。このアプローチは、業界と執行当局の両方で認識されている。」と記載されています。
 すべての製品、製品を構成する部品(めっきや塗料も含む)にRoHS(II)指令の特定有害化学物質が含有されていないことを分析で証明することは不可能であり、その必要もありません。
 EN50581では「製造者は、電気・電子製品が物質制限を遵守していることを証明するために技術文書を作成しなければならない」としています。材料、部品、半組立品に必要とされる技術文書の種類として、1.サプライヤーによる自己宣言、2.契約上の合意、3.材料宣言、4.分析試験結果が示されており、これらの技術文書の中で何を採用するかは特定有害化学物質含有の可能性とサプライヤーの信頼性格付けを掛け合わせたリスクの大小により自社の責任で判断できます。

サプライヤーの信頼性格付けは、EN50581では「サプライヤーの過去の経験」や「サプライヤーの出荷試験や検査の結果」から評価するとしています。この評価はISO9001などの品質マネジメントシステムの一つとして手順を確立しておくことが必要です。取引開始にあたって、取引契約書、図面や要求仕様書に特定有害化学物質の非含有の要求を明記します。RoHS(II)指令の適用除外がある場合にはこれも明記します。取引開始時及びその後の評価では、「調達する部品や材料の特定有害化学物質の含有の可能性」評価を行います。
 多くの企業がサプライヤーの信頼性格付けにBOMcheckのガイドを参考にしています。BOMcheckのガイド(外部リンク)の図2(Example of an assessment matrix to determine what types of documents are required for supplier parts)では、縦軸に「企業の信頼性格付け」をRoHS(II)指令の理解度などからType AからType Cに分け、「材料、部品、半組立品に制限された物質の含有の可能性」を「H:High」「M:Medium」「L:Low」に区分します。このマトリックスを利用してEN50581が要求する確証文書を確定します。例えば、企業の信頼性格付けがAで含有の可能性がLであるALの場合は、サプライヤーの自己宣言、同様にCHの場合は材料宣言、直近の分析試験結果、を技術文書として採択します。
 このようにサプライチェーンマネジメントを行うことで、自社の分析コストを削減することが可能となります。

Q&A一覧へ戻る

Q.39 自社で蛍光X線装置を保有しています。蛍光X線装置によって対象物質が検出されなければ非含有と考えて良いでしょうか?

 蛍光X線分析は、簡単な操作によって非破壊分析を行える、という長所がありますが、試料の大きさ、厚さ、密度や複合材料などによっては正しい値が得られない場合があります。蛍光X線分析装置での分析で良い結果を得るには、原理と弱点を知ることが大切になります。
 X線を照射した場合、含有元素量が多いほど発生する蛍光X線の強度は高くなります。蛍光X線の強度から含有濃度を換算するには、検量線法とFP(ファンダメンタルパラメータ)法の2種類の定量分析法があります。
検量線法は、濃度が既知の標準試料を測定し、蛍光X線の強度と濃度の関係を求めて、未知試料を分析する方法です。標準試料と測定試料の、共存成分が大きく変わらないことや濃度範囲内分析であることなどが条件になります。
FP法は、蛍光X線の強度が試料の組成と基礎物理定数の関数で表されるという理論を利用した定量方法です。X線照射面積より試料サイズが大きくないと正しい分析値が得られません。
 測定対象の試料が、均一で厚みのある標準的な試料でない場合は、蛍光X線分析の知識のある方が条件設定をすることが肝要です。
 測定値ではなくスペクトルの重なり、試料の情報を加味したデータによる最終判断を行うことも必要です。
また、蛍光X線分析装置でクロムの測定を行う場合は、トータルクロムとしては測定できますが、金属クロム・三価クロム・六価クロムの区別ができないため、この検査だけでは六価クロムのみの濃度は判明しません。PBB、PBDEについても同様で、トータル臭素としては測定できますが、PBB、PBDEであるかは分かりません。
 RoHS(II)指令の特定有害化学物質分析方法として、IEC62321(電気・電子機器―6種類の規制物質の濃度定量)により分析のフローや各特定有害物質の分析方法が規定されています。
 IEC62321の一般的な分析フローでは、1.X線分析装置で均質材料について特定有害物質の含有量が十分に許容濃度以下に収まっているかどうかを確認(スクリーニング)、2.スクリーニングで特定有害物質の含有量が許容濃度以下に収まっていると断定できない分析結果が出た場合(グレーゾーンの場合)には精密分析を実施、としています。許容濃度は測定濃度値に測定バラツキ(3σ)を加味した値として規定されています。例えば、水銀や鉛では閾値1000ppmに対して下限700ppm以上で上限1300ppm以下をグレーゾーンとしています。

Q&A一覧へ戻る

Q.40 RoHS(II)指令への適合を証明するためには、分析試験結果が必須なのでしょうか?

 RoHS(II)指令 第16条2項(適合性の推定)に、次のとおり定めています。
「試験または計測されるか、もしくは整合規格に則り、評価された材料、構成部品および電気・電子機器については、本指令の要求に適合するものとみなすこととする。」
 すなわち、分析試験がなされて最大許容濃度以下であるか、整合規格に則り適合性評価がされていれば、制限物質の非含有要求に適合していると見なすとしています。製品を構成するすべての部品や材料に分析試験を行うことは必須ではありませんが、整合規格に則り評価する必要があります。
 RoHS(II)指令の整合規格EN 50581:2012(有害物質の使用制限に関する電気・電子製品の評価のための技術文書)の前文で以下のように述べています。「均質材料のレベルで適用される制限については、複雑な製品の製造者にとっては、最終組立製品に含まれる全ての材料に独自の試験を実施することは非現実的である。」すなわち、製品を構成するすべての部品(めっきや塗料も含む)にRoHS制限物質が含有されていないことを分析で証明することは不可能であるとしています。
整合規格には、技術文書を作成するための製造者が実施するプロセス(手順)が決められ、材料、部品および半組立品の制限物質に関する適合評価には、次のような確証データ(エビデンス)を求めています。

1.サプライヤーによる自己宣言または契約上の合意、およびまたは (and/or)
2.材料宣言、およびまたは (and/or)
3.分析試験結果

 これらの確証データは、1から3の全てのデータが必要でなく、「およびまたは(and/or)」であることに注意ください。「サプライヤーによる自己宣言または契約上の合意」だけで良い場合もあり、「材料宣言」で良い場合もあります。それだけでは不十分で、やはり「分析試験結果」が必要な場合もあります。
 必要な確証データの決定は、製造者が自らの責任で決める必要があるので、どの確証データが必要であるかの決定にあたっては次の二つの点についてリスクを考慮します。

A.材料、部品の中に制限物質が含有する可能性
B.材料、部品のサプライヤーの信頼性

 材料、部品に含有の可能性が少なく、サプライヤーの化学物質管理の信頼性が高ければ、「サプライヤーによる自己宣言または契約上の合意」または「材料宣言」で良いと考えられます。例えば鉄製の板金部品には、水銀やPBBやPBDEなどが含有している可能性はありません。含有の可能性が高く、サプライヤーの信頼が低い場合は、これでは不十分で「分析試験結果」が求められます。

Q&A一覧へ戻る

Q.41 RoHS(II)指令に関する分析はISO/IEC 17025認定試験所が実施しなければいけないのでしょうか?

 第三者認定機関がISO/IEC 17025(試験および校正を行う試験所の能力に関する一般事項)に基づき、試験所・校正機関の審査を行い、正確な測定結果を生み出す能力を有していることを認定した試験所を認定試験所と呼びます。認定試験所は、管理能力と試験に応じた技術能力を有し、国際的に信頼できる分析試験結果を提供する機関として認められたものです。
 一方、RoHS(II)指令の整合規格EN50581では、制限物質の非含有の確証データとして、分析試験結果を収集する場合は、EN62321(電気・電子機器―6種類の規制物質の濃度定量)による分析方法によることを要求しています。EN62321は、分析方法を定めた規格であり、蛍光X線分析によるスクリーニングや原子吸光分析、ICP-MS、GC-MSなど各物質の精密分析の要件が定められています。しかし、認定試験所での分析を義務付けてはいませんので、認定試験所での実施は必須ではありません。
 分析方法には、簡易分析と精密分析があり、すべての分析を精密分析で行うのではなく、まず簡易分析を行い許容値以内であれば適合、許容値を大きく外れれば不適合とし試験を終了させるスクリーニング法が一般的です。その結果がグレーゾーンにあると考えられ、正確を期する必要がある場合には、追加試験を実施するか判断し、精密分析を実施する流れとなります。
 一般的に、分析試験結果には、測定値(分析値)の不確かさがあります。試料のサンプリング、前処理、回収率、標準試料、測定者などによってばらつく可能性があります。
 認定試験所の試験報告書は、報告書に入れるべき項目が決められており、「測定値」だけでなく「不確かさ」も報告され、また、校正情報も得られます。認定試験所の試験報告書は測定値を評価することができますので、信頼性があります。
RoHS(II)指令の制限物質の最大許容濃度の分母は、均質材料と言われるもので、「全体的に一様な組成」で、「機械的に分離できる最小単位」とされていますので、試料のサンプリングは重要です。
 以上の通り、RoHS(II)指令では、分析方法はEN62321に準拠することを要求していますが、ISO /IEC17025による認定試験所における精密分析は要求していません。

Q&A一覧へ戻る

Adobe Readerダウンロードはこのリンクから(外部リンク)

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)


ページの先頭へ